ビューティー&ヘルス 爪が変形してボロボロに…あなたは大丈夫!?女性にも多い「爪水虫」をセルフチェック

足にできる足水虫と同じく白癬菌が引き起こす爪水虫(爪白癬)は真菌(カビ)の感染症。調査により、日本人の10人に1人(約1100万人)がかかっており、そのうち受診患者はわずか 170万人で、隠れ爪水虫が930万人いると推定されるという衝撃の事実がわかりました。

「水虫なんて中年男性がかかるもの」というイメージも強いですが、調査の結果、爪水虫は男女ほぼ同じ割合で、性別に関係なくかかるということが判明しました。

「水虫なんて関係ない!」と思いたくなるのはわかりますが、靴やストッキングを長時間履いている働く女性にも足、爪の水虫は多いとか。

爪水虫は初期の段階の治療がより効果的であることから、多くの女性に知ってもらいたいと、“女性にも多い爪水虫 早期発見のための「60秒セルフチェック」”と題したセミナーが開催されました。

順天堂大学医学部 皮膚科学講座の講師を務める木村有太子先生と、皮膚科・内科医でクリニックに勤務の傍ら、医療の視点から美容と健康の啓蒙活動をメディアやSNSで発信している友利新先生が登壇し、爪水虫の症状や治療法について教えていただきました。

木村(左)、友利(右)両先生の女性医師によるセミナーが開催されました。

爪水虫と足にできる水虫は違うの?

足水虫は皮膚の一番上にある角質層に住みつき、爪水虫は爪に住みつくために起こるもので、爪の中で増えていきます。原因は同じ白癬菌ですが、病態も治療法も異なります。

「爪水虫の原因としては、本人に足水虫があることが多いです。白癬菌がついたまま通気性の悪い靴を長時間履いたりすることで、徐々に白癬菌が増殖していきます。足の白癬菌が繁殖していくと、爪の先端、もしくは横から白癬菌が侵入、爪の裏と接している皮膚『爪床』の上の部分は白癬菌には快適な場所なことからここから増えていきます。さらに住み心地のよい奥へ入り込んでいき、どんどん広がっていくのです」(木村先生)

増殖した白癬菌は、爪の周りの皮膚から爪に入り込んで住みつきます。(渡辺晋一氏ほか、日皮会誌 、119(5), 851 862, 2009より作成)

水虫にかかった患者さんは、スポーツジムや温泉、水泳などで感染したのかも?と思っている人が多いそうですが、実は一番多い感染経路は家の中。足の水虫は5人に1人と爪よりさらに多く、白癬菌は足水虫の患者から剥がれ落ちた皮膚の中に存在し、バスマット、スリッパ、絨毯、畳、床などから家庭内にばらまかれます。白癬菌が12 ~24 時間以上付着すると感染が成立します。

「別の疾患で皮膚科、もしくは内科で訪れた際に、なにかの原因で足の爪を診たときに爪水虫が疑われることがあります。それを患者さんに伝えると『かゆくもないし、足は清潔にしているので、私には関係ないです』と否定する女性も少なくありません。

水虫は男性に多いというイメージが一般にはありますが、現代人は基本的に靴や靴下、ストッキングを履いて生活しているので、男女差がなく同じ頻度で起こるということを念頭に置いてほしいですね」(友利先生)

重症になると完治するまで数年がかかることも

爪水虫は爪が白色や黄白色に混濁して爪が厚くなり、進行すると爪がもろく崩れるなどさまざまな症状を呈してきて、時間が経つとどんどん進行していき重症化していきます。軽症は混濁面積が一部ですが、放置しておくと混濁面積が拡大していき、爪が厚くなっていきます。さらに数年放置していると混濁が爪全体に広がり、変色して爪がボロボロに。

爪水虫の症状。左は白色または黄白色の混濁があり、爪が厚くなっています。右はくさび形に爪の混濁部が変色しています。(埼玉医科大学総合医療センター 皮膚科教授 福田知雄先生より提供)

「重症化すると治療抵抗性となり得るので、完全治癒率が高く、完治期間も短くて済む軽症、中等症までにできるだけ早く受診して治療をするのが大切です。軽症なら半年以内にはほぼ完治することができますが、中等症は半年から1年、重症は年単位になる可能性もあります。

白癬菌の活動が鈍い冬は爪水虫治療にベストなタイミングといえます。しかし治療をしている患者さんの中には、冬場は治ったと勘違いして治療も中止してしまう方も多いです。完治しないまま途中でやめてしまうと、今まで継続してきた治療が無駄になってしまいます。結局は、翌年の春・夏に水虫が再発して、もう一度最初から治療をやり直すことになりかねません」(木村先生)

もし爪水虫になってしまったとしても、「病院で診察してもらうのは恥ずかしい……市販の薬で治せないの?」という女性心理が働きますが、爪水虫は民間療法では治すことができないそうです。

「皮膚科で正しい診断をされたもとで治療を行う必要があります。爪水虫の治療には、白癬菌を殺したり、静める作用のある抗真菌薬と呼ばれるお薬が使われます。抗真菌薬にはのみ薬3種類、ぬり薬2種類が保険適用で認められており、患者さんの症状や状態などに合わせて処方されます。重症から軽症まで使われるのみ薬が主体で、内服薬の治癒率は6割ほどです。軽症で使われるぬり薬は1年間使用しても治癒率は2割ほどで、可能な限りのみ薬で治療するのがベストといえます」(木村先生)

「女性の場合、水虫は人に知られずに治したいという心理が働きますが、ネットに散乱している情報は玉石混交なので惑わされないことが大事。また、薬局で売られている水虫の治療薬は皮膚にできる足水虫の外用剤で、爪水虫の効果、効能は認められていません。爪水虫であれば迷わず皮膚科を受診してください」(友利先生)

臨床の現場から女性の心理についても理解している両先生ですが、爪水虫になったらすぐに受診を!と断言しました(右は進行役の東京女子医科大学 川島眞名誉教授)。

キレイに見せるためのネイルで爪水虫に感染することも

女性はおしゃれのためにジェルネイルやつけ爪をしている人も多いですが、つけ爪を外したときに爪が変色していて、皮膚科を受診したら爪水虫だと判明することもあります。

「ネイルと自分の爪の間に隙間が生じるとそこに水がたまります。そこに白癬菌がついてしまうと水虫にとって育ちやすい高温・多湿の環境のため、爪水虫になってしまうことがあります。おしゃれのためにやっているネイルでも、リスクがあることをしっかりと意識しておくことが大事ですね」(木村先生)

木村先生が診察した、つけ爪を外したら爪水虫になっていたケース。

「手のネイルは頻繁に付け替えるのでトラブルは少ないですが、足の爪は伸びるのが遅いため、付け替えは2か月に1回という方も多く、浮いている場合もよく見られます。そこが白癬菌の温床となり爪水虫を引き起こします。どうせまた色をのせるからと気にしない方もいますが、健康な爪でこそおしゃれを楽しむべきで、爪は皮膚の付属器でもあり肌と同様に健康を保つことが大切ということを、本人はもちろんネイリストさんも念頭に置いていただきたいですね」(友利先生)

ちなみに、ネイルのトラブルとしてよく知られている、爪が緑色に変色する「グリーンネイル」は、白癬菌による爪水虫とは異なるものです。「基本的には緑膿菌という細菌の感染によるものですが、緑膿菌とカンジダという水虫とはまた違うカビの混合感染を起こすこともあります」(木村先生)

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