ビューティー&ヘルス コロナ禍で控える傾向の『がん検診』は受けたほうがいい?30代女性のリスクとは

普段、何気なく受けている会社の健康診断やがん検診。実はコロナ禍で受診を控える傾向が見られ、医師が警鐘を鳴らしています。

自分は大丈夫と思っても、後日後悔することになるのは避けたいものです。そこで今回は、がん検診に関する現状や医師による見解、30代女性が知っておきたい、がん検診の必要性や受けておきたいがん検診をご紹介します。

コロナの感染リスクを気にして「がん検診をスキップする予定」が4割以上

ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーが2021年11月、全国の20~79歳の男女15,000人を対象に、「健康診断・人間ドック、がん検診等、医療受診に関する意識・実態調査」を実施したところ、来年度、2022年4月から2023年3月に「受診を控えたい」という人は、「健康診断」(19.6%)、「がん検診」(23.6%)ともに約2割に上りました。昨年の同調査結果は約3割だったため、減少したものの、まだ控えるが人が多く存在しています。

がん検診については、コロナ感染拡大前の2017年から2019年に、胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんのいずれかのがん検診を受けたことのある40歳以上の男女4,850人に限っても「来年度控えたい」と回答した人は15.1%になりました。

なぜ、がん健診の受診を控えたいのでしょうか? その理由を「胃がん検診」に限って尋ねたところ、回答が多かった項目は、「からだの変調を感じないから」で18.9%、次いで「健康状態に不安はないので、必要性を感じていないから」が15.6%、「これまで受けたことがないから」で13.9%となりました。

「コロナの感染リスクがあるから」は8.8%となり、昨年の同調査結果の18.4%と比べて下がりましたが、未だに存在しています。

●医師はこの結果をどう見る?

この調査結果に対して、公益財団法人がん研究会 有明病院 病院長 佐野武先生は、次のコメントを寄せています。

「がんの診療に携わる私たちが危惧するのは、コロナによる受診控えのために早期がんの発見が減り、進行したがんが増えることです。

今回の調査でも、約9割の医師が、コロナががん早期発見と治療に影響を及ぼしていると考えているという結果が出ています。

がん検診はがんの早期発見のために重要です。今回の調査では、検診の受診予定がない方の多くが、『からだの変調を感じないので』あるいは『健康状態に不安はないから』と回答されています。

しかし、がん検診の目的は症状のない人たちの早期のがんを 見つけて治すことだということを忘れないでください。

コロナ禍も相まって『今年はスキップしてもいいか』と思われている方は、どうか検診受診を再検討してください。

がんの多くは着実に進行し、がん検診が半年、あるいは1年遅れることで、より進んだ状態で見つかることになります。実際当院でも、毎年受けていた検診をコロナの感染を恐れて受けないでいたところ、症状が出現して進行したがんが見つかった人や、手術ができない状態まで進行してしまった人もいました。

せっかく毎年検診を受けていたのに、1回先延ばししてしまったことで、早期の発見を 逃してしまうことがあり得るのです」

この機会に、がん検診について、一度自分の将来のことと共に、考え直してみるのもいいかもしれません。

会社の定期健康診断のオプションと自治体のがん検診どちらを受ける?

がん検診の選択肢は?

ところで、現在、会社に勤めている人は、会社の定期健康診断の際に、がん検診がついてくることもあるでしょう。自治体では独自にがん検診を無料で受けられるといったケースもあるため、会社のがん検診とどちらを受けるといいのでしょうか。

今回は、がん検診の受け方などについて、働く女性にアドバイスを行っている、株式会社ドクタートラスト 産業保健師の中森チカさんにお話を伺いました。

「会社によっては福利厚生の一環として、定期健康診断時に無料で受けられる補助を行っているところもありますが、一般的に、がん検診は自己負担額を伴うオプションとしているところが多いです。

特に女性には、乳がん検診や子宮頚がん検診が用意されていることが多いです。職場の定期健康診断の際に、費用の自己負担があっても受診するメリットとしては、健診のなかで受けられることから、別途医療機関などに行かなくてよいという点です。

市区町村が行っている事業を利用すれば、毎年または2年に1回、全額助成または一部助成で受診できるため、費用面を鑑みて、こちらを選択される方もいます。

医療機関の評判やサービスが気になる方もいると思いますので、ホームページや周囲の人から情報をもらい、自分に合うところで受診しましょう」

30代女性が受けておきたい「がん検診」は?

30代女性は、特にどのがん検診を受けるといいのでしょうか。

「30代女性が注目したほうがいいがんは、子宮の入口あたりの子宮頚部にできる『子宮頸がん』です。子宮頸がんの患者数も死亡数も増加傾向にあり、死亡毎年約1万人がかかり、約3,000人が亡くなっています。

子宮頸がんは20代後半から増え始めて、30代後半から40代女性がピークとなります。出産や子育て中の方と重なる年代で増加するため、『マザーキラー』と呼ばれています。

子宮頸がんの原因は遺伝や生活習慣ではなく、性的接触によるヒトパピローマウイルスの感染のため、性交渉の経験が一度でもある女性であれば検診を受けるべきです。子宮頸がん検診は、国が30代女性に推奨しているがん検診でもあります。

子宮頸がんは痛みや出血など初期症状がほとんどないため、自分では気づきにくい一方、子宮の入口にできるため、検診で発見しやすいがんです。

進行してしまうと、子宮を全摘しなければならないこともあります。早期発見により、子宮を残すことができるので、特に妊娠や出産などを考えている方は、2年に1度、ぜひ受けていただきたいです」

がん検診は、コロナ禍で受診を控える傾向がある中で、さらに「受けなくても大丈夫だろう」と考えがちな検診です。

けれど、「受けておいてよかった」と安心する未来の自分のために、今こそ、受けておくことも必要かもしれません。これを機会に、一度、ぜひ考えてみてください。

【取材協力】

中森チカさん 株式会社ドクタートラスト 保健師、公認心理師

大学卒業後、大学病院の看護師や地域包括支援センターの保健師を経て、産業保健師として活動中。特定保健指導や健康セミナー、カウンセリングなどに携わるほか、数多くの企業で「女性の健康セミナー」を行うなど、働く人、とりわけ働く女性に寄り添っています。

【調査出典】
ジョンソン・エンド・ジョンソン「健康診断・人間ドック、がん検診等、医療受診に関する意識調査 2021年度版」
https://www.jnj.co.jp/media-center/press-releases/20211214

取材・文/一ノ瀬聡子