働く30代、40代のプチ不調の改善法や、簡単に取り入れられるハッピーエイジングのための生活習慣を、予防医学のプロに伺います。第3回は辛い肩こりについて。「デスクワークをしていると、夕方には肩がバリバリ……」「肩こりがちっともよくならない。年のせいだろうか」と嘆く働く女子は多いです。30代後半になると「これがいわゆる四十肩なのか……?」というのも気になるところ。
辛い肩こりは老化のひとつなのでしょうか。アメリカの最先端予防医療に詳しい虎の門中村康宏クリニックの院長、中村康宏さんに教えていただきます。前回の記事「病院では異常なしといわれたけれど、急性胃腸炎で胃痛と下痢が続くというプチ不調…治す方法を予防医学のプロに聞く!」はコチラ
質問:「肩こりがひどく、いつも体が重怠いような状態です。このまま四十肩になってしまうのか……とびくびくしています。肩こりと四十肩は関係ありますか?」(37歳・経理)
☆☆☆
肩こりと四十肩は別物
まず、肩こりと四十肩は別物であることを認識しましょう。
肩こりとは、局所の血流動態に何らかの異常が起こることにより起こると考えられています。血流の変化の原因は、同じ姿勢を長時間続けることによる筋肉の疲れ、交感神経優位による血管収縮が引き起こす血流障害、など様々です。いずれにしろ、筋血行の悪化と筋収縮の持続は、筋肉のポンプ作用が減少あるいは停止して血管が圧迫され、 血行が阻害されます。すると、CO2やりん酸など、代謝産物と呼ばれるものが蓄積します。 そして、それがさらに筋緊張を進ませる(亢進・こうしん)という悪循環をもたらします。
一方、四十肩は医学的に言うと、肩関節周囲炎のことです。肩こりとの違いは、肩を自由に動かせなくなることです。発症後1か月くらいの間に強い痛みがあり、その後は徐々に痛みが軽減しますが、可動域が制限されるようになるのが一般的です。症状は1年くらい続くことがあります。肩関節周囲炎の治療の原則は「安静」。三角巾などで肩甲骨が動かないようします。肩こりの場合には、マッサージしたりストレッチなどでほぐすと軽減しますよね。これを考えれば、四十肩が肩こりと別物と理解できると思います。
そして、肩関節周囲炎は加齢に伴う肩関節周囲組織の変性が原因と言われていますが、明らかな原因がなく発症することも多い病態です。つまり、実際の原因はわかっていないのです。単に40代、50代の年齢に肩関節周囲炎を起こす人が多いから、四十肩、五十肩といった名称がついているだけで、40代だからなる、50代だからなる、ということでもないのです。
四十肩の最新対症療法は「筋膜リリース」