働く30代、40代のプチ不調の改善法や、簡単に取り入れられるハッピーエイジングのための生活習慣を、予防医学のプロに伺う本連載。第4回は足のむくみについて。夕方になると足がパンパンに張って痛い、足首がおののくくらい太くなる……という悩みをもつ働く女性は多いです。足のむくみ解消グッズなども市販されていますが、速攻解消するにはどうすればいいでしょうか。足のむくみの原因と対処法について、アメリカの最先端予防医療に詳しい虎の門中村康宏クリニックの院長、中村康宏さんに教えていただきます。
質問:「30代後半になってやたらと脚がむくむようになりました。夕方になると、足の甲がぱんぱんにふくれ、足首もむっちりしてしまうんです。このまま、どんどん脚が太くなっていくような気がして怖いです。どうしたらいいですか?」(35歳・営業)
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足のむくみの原因とは
足の浮腫(ふしゅ)、いわゆるむくみについて、西洋医学的に説明しましょう。
筋肉には血液やリンパ液を送り出すポンプのような働きがあります。そして、加齢に伴う下肢の筋力低下や、立ちっぱなし・座りっぱなしなどで足の筋肉を動かしていないと、血液や水分などが足に溜まってしまい、むくみが生じます。
いちばんの心配は、足のむくみの原因が病気かもしれないということ。これには内科的と外科的な原因のふたつが考えられます。
内科的原因には肝臓、腎臓、心臓の病気・機能が落ちるとむくみが発生します。一方、外科的な原因としては、静脈の逆流性病変や閉塞性病変による「静脈高血圧」や「静脈血栓」に起因する事があります。心当たりがある人は、まず一度検査してみるといいでしょう。
これらの病的な場合を除いて、日常的なむくみは上で紹介したように、「心臓へ血液や水分を返すポンプ力の低下」ということができるでしょう。対策として以下の3つのアプローチがあります。
日常的なむくみ対策の3つのアプローチ
日常的なむくみの原因は、「心臓へ血液や水分を返すポンプ力の低下」です。これを改善するには、“ポンプ力”を上げることが重要となります。
(1)ポンプを外からサポートする
入浴や弾性ストッキングなど外から圧をかけることで、溜まった水が心臓へ返りやすくなります。また、足を挙げて寝る、マッサージ、足首の運動などもいいでしょう。
(2) ポンプの能力を上げる
足の筋肉をつけましょう。別項で解説の通り、現代人は年齢とともに右肩下がりで足の筋肉が落ちます。意識して歩く、走る、ストレッチするなど筋肉を動かすようにしましょう。
(3)ポンプの効率を上げる
自律神経は、血管の太さを調整する役割があります。ストレスなどで交感神経優位の状態となると、血管が収縮し、血行が悪くなります。反対にリラックスして副交感神経優位の状態になると、血管が拡張して血行が良くなるのです。血行を良くするためには、血行と密接に関係している自律神経を整えることを考えましょう。
水を抜く治療薬として利尿剤があります。一般的な薬でどこのクリニックでも手に入れる事ができますが、常用すると水のバランスが崩れたり腎臓を悪くする事がありますので、安易に使うのではなく、しっかり長期間診てもらえる先生に相談しましょう。