ビューティー&ヘルス 部下のメンタル不調に気づいたら…上司側の適切な対処方法

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。前回、新しい職場にてメンタル不調を起こしてしまう当人の心の状態、ストレスの解消方法についてお話させていただきました。今回は、会社を休みがちになってしまった部下を抱える上司の立場でのサポート方法についてお伝えします。

あなたができることは、全員できるとは限らない

新しい職場に入り、しばらくすると遅刻や欠勤が増えていく部下については、彼ら、彼女らが今何に困っているのか、その困っていることに対しての度量を広げていくしかありません。

まず考えてほしいのは、自分ができたことを全員が当然できると思い込んではいないか、ということ。自分がその部下と近い立場だった場合、その思い込みはやがて、「あいつはできない」と見下す行為になってしまいます。その思い込みは、口で伝えないにしても、非言語で伝わってしまいます。

コミュニケーションには言語と非言語があり、コミュニケーションが与える影響を示したものに「メラビアンの法則」というものがあります。これは、非言語的コミュニケーションの重要性が説かれたもので、下記のような割合だと記載されています。

・言語情報(言葉を使ったもので、話の内容など)……7%
・聴覚情報(話し手が発する声のトーンや大きさ、また、話し方(口調)や話す速さ(テンポ)など)……38%
・視覚情報(話し手の表情や目線、そして態度や仕草、また見た目など)……55%

つまり、言語情報が1割、非言語情報が9割合であるということ(所説あります)。非言語で部下がメンタル不調に陥る場合は、多いにあります。近い立場であるなら、「全員ができる」という思い込みをなくし、一から事細かく教えていく姿勢を持つことが大切です。

直接やりとりのない上の立場の場合は、先輩社員とバディを組ませる

一方で、さらに上の立場という場合もあるでしょう。近い立場ではない場合、部下は何がわからないのか気づけないことがほとんどです。本来なら、ずっと部下を気にかけて、些細な変化に気づいてあげるのが正しいのかもしれませんが、実際は1人の部下に対してそこまで時間をかけることはできませんよね。

その対処法としては、会社の規模にもよりますが、その部下の先輩にあたる立場の人を一定期間サポートにつけて、指導だけでなく、勤務で何が苦手なのかの観察も一緒にしてもらうのです。

これはプレイングマネージャー、制度でいうとバディ制度というところです。この仕組みは昔の日本企業ならよくあった制度で、今でも取り入れている会社もあるものの、減少傾向にあります。昔は終身雇用も確立されていて、もっと1人ひとりがゆったりとした働き方だったのですが、今は人員削減などの影響もあり、1人が抱える仕事量が増えてしまったことも減少の一因なのかもしれません。

サポート体制は、その不安を抱えている部下だけでなく、全新入社員につけることがマストです。一部だけになってしまうと、他の新人が不満を抱くきっかけを作ってしまいますので注意してください。

先輩の立場の社員に負荷がかかると懸念されているかもしれませんが、相乗効果として、先輩社員の教え方がうまくなるなどのメリットもあります。ここで必要なのは、先輩社員へのフォローです。「あなたに任せられるから、私は他の仕事ができる」と声をかけることも忘れてはいけません。この気遣いができるかどうかが、上司本人の度量にかかっています。

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