こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。前回「アルコール依存」の原因とその怖さについてお話させていただきました(前回の記事はこちら)。
今回は依存の中でも、今増えている「インターネット依存」(以下「ネット依存」)と、インターネットにより他人事が自分事に変わってしまうことで執拗に他者を追い、時には攻撃してしまう「SNS依存」についてお伝えさせていただきます。
昼夜いつでもつながれる。「ネット依存」は無自覚に陥る病
前回の「アルコール依存」や、今回の「ネット依存」などの依存症は、ある対象のものや行動への執着から始まります。
依存症は大きく下記のような3つのタイプに分かれています。
1.物質に対する依存症……アルコール依存、タバコ依存、薬物依存など
2.行為に対する依存症……買い物依存、ギャンブル依存、ネット依存、SNS依存、セックス依存、仕事依存など
3.人間関係に対する依存症……恋愛依存、親子の依存、友人への依存など
上記からわかるように、「ネット依存」は、行為に対する依存となります。
ネット依存は、時間に制限がなく、寝ることよりも、食べることよりもネットを見ることを続けてしまう病気です。ネットを見ることを何よりも優先してしまうことで、自分の生活リズムを壊してしまいます。また、好きな情報だけでなく、ネットゲームやそれに伴う課金などを過剰にしてしまう人もネット依存に該当します。
症状として多く見られるのが、昼夜が逆転してしまっていることです。
今は調べたいこと、誰かとつながることも昼夜関係なく通信機器さえあれば行なえるようになっています。そしてその行為には、終わりが明確にありません。永遠に続けることができるということも、依存性が高い理由なのです。
「SNS依存」は他人事を自分事のように勘違いしてしまっている
そして「ネット依存」の延長にあるのが、「SNS依存」といわれるものです。SNS依存は、取り残される不安が関係されている可能性が高く、その不安から他人の発言、行動を執拗に追いかけてしまう行動を指します。これも、今までなら知ることができなかった他人の情報が、今はその人自身が公開しているため簡単に手に入れることができてしまうようになったのが大きな要因です。また、SNS利用が依存症につながるきっかけは、利用時間ではなく、過剰利用の内容と文脈にあるともいわれています。
最近、テイクアウトで飲食店を応援しようとSNSでテイクアウト商品をアップしている人を中傷するようなことも起こっているとか。これも他者の情報をわざわざ自分から閲覧しに行って、間違っていると中傷をしている行為であり、SNS依存の兆候でしょう。
今は自由になる時間が増えている分、依存を加速させてしまっています。外出自粛により、外とのつながりを求めるあまり、ネットやSNS依存に陥ってしまう人も多いです。
「ネット依存」や「SNS依存」はアルコール依存などと違い、直接すぐに体に害を及ぼすものではありません。しかし、入り込み過ぎているという自覚が芽生えにくく、気づかないうちにうつ病を発症してしまう人もいます。