ビューティー&ヘルス 年々増え続けるDV被害。「彼には私しかいない」は勘違いです

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。最近TVで内閣府より「DV・幼児虐待」への相談を促すCMが流れるようになっています。DVとはドメスティック・バイオレンスの略語で、内閣府のHPには 「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」という意味で記載されています。DVの相談件数は年々増加傾向にあり、女性の7人に1人は配偶者から繰り返しの暴力を受けているという発表があるほど、深刻な問題となってきています。(参照:内閣府大臣官房政府広報室https://www.gov-online.go.jp/cam/no_dvca/dv01/)

今回はDVをする側、受け続けてしまう側の心理について考えてみたいと思います。

パートナー間で起こるDVは、上下関係が成立している場合が多い

DVは、以前は配偶者からの家庭内で起こっているものという印象でしたが、今は「デートDV(結婚前の恋人間の暴力)」という言葉も広がり、親しい関係性の中で起こるさまざまな暴力という認識が広まってきています。

DVで起こる暴力とは殴る、蹴るなどの身体的暴力だけではなく、バカにする、脅す、無視をするなどの精神的暴力携帯電話やメールを細かくチェックする、相手を束縛人間関係の監視するなどの社会的暴力、性行為を強要するなどの性的暴力、生活費を渡さない、お金を無心するなどの経済的暴力など多岐に渡ります。

このような行為を受けている人がなぜ相手から逃げ出さないのか、DVを受けたことがない人はわからないと思いますが、それにはパートナーでありながら上下関係が成立しているという要因が考えられます。DVをしている側は自分のほうが相手よりも勝っているという心理が働き、相手を思うままに支配しようとします。また、されている側も気づかない内に相手を上の存在だと認識して、相手の行動を妨げる自分が悪いという心理を持ってしまっているのです。

DVは3つのサイクルを繰り返し上下関係を強固にする

暴力を受けながらも離れられない理由は他にもあります。それは好意という気持ちが働いてしまっているからです。多くの場合、DVには「緊張期」「爆発期」「開放期(ハネムーン期)」という3つのサイクルが何度も繰り返されていると言われています。それぞれの加害者、被害者の行動、心理は下記の通りです。

【緊張期】
加害者……些細なことでイライラして、威圧的な行動をとる。自分の意にそぐわない行動を起こす相手に怒りの感情を覚える
被害者……相手の顔を伺いながら相手の言うことに従う。自分より相手のことを優先する

【爆発期】
加害者……怒りをコントロールできなくなり、さまざまな暴力をふるう
被害者……絶望感や無力感に陥る。相手に合わせられない自分が悪いので暴力も受け入れてしまう

【開放期】
加害者……もう暴力はふるわないと相手に謝罪して優しく接してくる。相手が離れるのを恐れる
被害者……相手のことが好きだと再確認して、もう一度信じてみたい気持ちになる

開放期では加害者は本当に後悔している可能性もありますが、その後悔は長続きしません。優しくなるのは、被害者が離れていくのを防ぐためです。しかし、被害者はもしかしたら変わってくれるかもしれないと期待を抱き、逃げるタイミングを失います。

すべてのDVがこのサイクルを繰り返すわけではありませんが、好意という感情が背景あるために離れられなくなり、繰り返されることで上下関係は強化されてしまいます。

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