ビューティー&ヘルス 「期日が守れない」「同僚とうまく付き合えない」社会での生きづらさの原因はADHDかもしれません

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。芸能人を含めてご自身の「ADHD(注意欠如・多動症)」を公表する方が増えて、「発達障害」という言葉が周知されるようになってきました。現在は発達障害をもつ子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助する「療育」という取り組みが行われており、発達障害は幼少期から周りのサポートを受けられるものへとなってきています。しかし、「療育」はもともと身体障害のある子どもの治療と教育を合わせたアプローチだったものを、対象をすべての障害のある子どもに変更させただけであり、現在の30代以上の方は大人になってから自身の発達障害について自覚するという方が多いのも実情です。今回は「ADHD」を、子どもと大人で診断された方の違いについてお話させていただきます。

子どもの頃には見過ごされていた不注意が、大人では仕事への重大なミスになる

「ADHD(注意欠如・多動症)」は、ミスが多いなどの不注意、じっとしていることが苦手などの多動性、思っていることを口に出してしまうなどの衝動性といった症状がある、発達障害の一つです。現在は小児の3~7%程度が保有していると言われており、脳機能の障害が原因だとされています。

ADHDは3つの症状があります。

・不注意優勢型
子どもの頃には忘れ物が多い、宿題を期日までにできないなどの症状があります。大人では仕事の締め切りを守れない、スケジュールを組み立てられない、忘れ物や大切な書類などの管理ができないなどの症状が表れます。

・多動性・衝動性優勢型
子どもの頃は授業中にじっとできない、手足を常に動かしてしまうなどの多動性、自分の意思のままに思ったことをすぐ口に出す、やりたいことが通らなかった場合に大声をあげるなどの癇癪を起こすなどの衝動性があります。大人の場合も、会議などでも集中できずにすぐ席を外してしまう、言葉の奥にある意味を考えずに表面にある言葉だけを受け取り、対人関係に揉め事を作ってしまうなどの行動が表れます。

・混合型
上記にあげた2つのものが同時に表れます。

大人のADHDは不注意優勢型が多い傾向があります。これは子どもの頃は忘れ物や宿題の期日を守れない(守らない)生徒が一定数いる場合があり(これも問題ですが…)、親としても大事と捉えていない場合があるからです。注意されていなかった不注意が大人になり、仕事の重大なミスなどにつながってしまいます。また、注意を受けているのに治らないことで、できない自分自身に悩み、病院に罹る方がいらっしゃいます。

うつなどの二次障害を発症しないためにも、自身のADHDを知る必要がある

子どもの頃にADHDの診断を受けている場合は、前述した療育や周囲の大人のサポートなどの環境により大きく改善される場合もあります。

大人になってから診断を受けた場合でも、今はさまざまな治療が確立されており、ADHDとともに社会生活を送ることは可能です。しかし、診断を受ける前に、子どもの頃には大人の言うようにできない自分を受け入れられず、大人になると周囲に馴染めずに対人関係に不安を抱えているなど、ADHD以外にうつや不安症などの二次障害を抱えている場合も多くあります。

大人の方がADHDの診断を受けたとき、ホッとした表情を浮かべる方も多く、日常で抱えているストレスは計り知れません。ADHDは自身が障害だと認めることがその生きづらさをなくす第一歩となります。少しでもご自身で気になることがある人は次ページのチェックリストを行ってみてください。

ミスが続くことで自分をどんどん追いつめてしまう。
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