ビューティー&ヘルス 地震で過去の被災体験が蘇る……。過去のトラウマがフラッシュバックする「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」とは

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。2月13日の夜に福島県沖を震源とする地震があり、福島県や宮城県などで震度6強の地震が起こりました。今回の震災をきっかけに現在は東京で暮らす知り合いの女性から、26年前の阪神・淡路大震災がフラッシュバックしたと相談を受けることに。

この女性は過去の震災で「PTSD」の診断を受けています。「PTSD」とは、「心的外傷後ストレス障害」のことで、震災に限らず、過去のトラウマが原因で起こる精神疾患です。今回はその「PTSD」についてご説明させていただきます。

似たような環境で過去の出来事が蘇る

「PTSD」とはPost-Traumatic Stress Disorderの略で、生命が脅かされるようなトラウマ体験の後にその光景を何度も思い出し、そのことによって不安や緊張の強い状態が続くことによって、体や心にさまざまな症状がみられる病です。最初にアメリカにて戦争から戻ってきた兵士が心の不調を訴えたことでこの病が確立されました。日本では阪神・淡路大震災の後に注目を浴びるようになったと言われています。

PTSDの主な原因になるのは、震災などの災害の他、暴力(性暴力を含む)、虐待、事故や、近しい人の死などです。

また、そのトラウマを与えられた状況からしばらく経ち、自身もすでに日常生活を送れるようになっていても、再体験や似たような状況が起こると苦痛な記憶が再び思い出されるという特徴もあります。阪神・淡路大震災がフラッシュバックしたと相談に来た女性(Aさんとします。今回の掲載内容はすべて許可を得て掲載しています)も「もう忘れていると、もう平気になったと思っていた」と言いました。

PTSDには、大きく4つの症状があります。

再体験症状(トラウマを起こした出来事が何度も頭の中で繰り返され、制御することができなくなる)
回避症状(出来事に関して考えたり話したりすることを極力避けようとしてしまう)
精神麻痺症状(出来事自体を思い出せなくなる。また、感情が麻痺してしまい、うつ症状のように以前楽しんでいたことへの関心が薄れるなどの症状も出ることがある)
過覚醒症状(眠れなくなる、イライラする、集中できなくなる、ちょっとした物音などにも過敏に反応してしまう)

Aさんは再体験症状であり、「今回の地震は時間がとにかく長くて、子どもだった神戸の地震のときもとても長くて、それを一気に思い出した」と語っています。AさんがPTSDの診断を受けた当時には、不眠や過呼吸(過換気症候群)、動悸や発汗などの症状があったと言います。症状は当人によって違うこともあります。

PTSDは、下記が該当する場合に診断されます。

・外傷的出来事を直接または間接的に体験したことがある
・症状が1か月以上続いている
・症状が重大な苦痛を引き起こしている。または、日常生活に大きな支障をきたしている
・上記の4つの症状(侵入症状、回避症状、精神麻痺症状、過覚醒症状)がいくつか認められる

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