ビューティー&ヘルス リモートワークで「孤独」に陥る社会人が増加中。孤独とメンタル不調が結びついてしまう理由とは?

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。一人暮らしをしている方の中には、リモートワークで仕事の確認などはすべてメールやチャットで済ませて1日中誰とも会話をしない日が何日も続く方もいると聞きます。そんな方の中には、孤独を強く感じる状態が続くと、抑うつ状態に陥ってしまう方もいます。今回は孤独が及ぼす心への影響についてお話させていただきます。

これまでの連載:https://suits-woman.jp/beauty_health/habitmind/

孤独は健康に大きな影響を与える

まずは孤独とはどんな状態なのかを考えてみましょう。意味を調べたところ「仲間や頼りになる人がなく、ひとりぼっちでさびしいこと」とあります。この原稿を読んでいる方の中には、さびしいからといって病気にはならないと考える人もいるでしょう。もちろん全員がメンタル不調を訴えるわけではありません。

しかし、クイーンズランド大学やオーストラリア国立大学の研究者たちが行った社会的なつながりと死亡リスクについての150近い研究の結果、社会的つながりや社会的支援の欠如が健康に大きな影響を与えることが判明しています。研究者たちは「孤独はがんと同レベルに危険な『社会のがん』と捉えて対処すべきだ」とも訴えているのです。

今はリモートワーク前は会社で行われていた会話による「自己充足的コミュニケーション」(説明は前回の記事をご確認ください)がなくなっています。話したいのに話せない状態が続くと、人は「自分は誰からも必要とされていない」、「誰かに必要とされたい』という欲求が満たされていない状態になるのです。これは「欠乏欲求」と言い、満たされないことで劣等感や無力感に襲われる可能性があります。

孤独で感じる欲求の正体

先ほど出てきた「欠乏欲求」とは、マズローという心理学者が唱えた理論「欲求5段階説」の1つで、人間の基本的な欲求を「5段階のピラミッド」のような階層で表されています。

欲求5段階説

下から生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求となり、性生理的欲求が満たされると次の安全の欲求を求めるという風に下から上へと欲求が上がってきます。

各欲求の求めるものは下記のようなものです。

1段目「自己実現欲求」……才能を生かして最高の自分になりたい
2段目「承認欲求」……他人から認められたい
3段目「所属と愛の欲求」……集団に属したい・恋人や家族、仲間を持ちたい
4段目「安全の欲求」……安全・安定した生活がしたい
5段目「生理的欲求」……食べたい・寝たいなどの欲を満たしたい

自己実現欲求以外の4つの欲求をまとめて「欠乏欲求」と呼んでいます。

孤独を感じている方は3段目の「所属と愛の欲求」が満たされていない状態となります。「所属と愛の欲求」が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じやすくなり、メンタル面が不安定になって、最悪の状態になると抑うつ状態に陥ることもあります。

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