ビューティー&ヘルス 攻撃性が増す「没個性化」って? SNSで誹謗中傷をしてしまう人の心理とは

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。SNSでの誹謗中傷は以前から問題視されていましたが、有名人の方などが被害を訴える機会が増えたことにより注目を集めています。誹謗中傷をしていた方の正体が明るみになると、過激なコメントとその方の生活態度がまったく結びつかないことに驚かれる方も多いと思います。これにはリアルな世界とは違う、SNSにある「没個性化」が関わっているとされています。今回は「没個性化」について詳しくお伝えしていきます。

これまでの連載:https://suits-woman.jp/beauty_health/habitmind/

匿名性と責任の分散で、人は攻撃性が増す

「没個性化」とは、文字通り個人がその場に埋没して自己の存在感が希薄になることを指しています。この言葉は社会心理学者・ジンバルドー氏によって唱えられたもので、人は自分の存在が周囲にわかりにくくなっているとき(匿名性が保証されているとき)には、自己の言動をコントロールする能力が低下してしまうとされています。

では、自己の言動をコントロールする能力が低下することが、なぜ攻撃性が強くなることにつながると思いますか?

それには匿名性であることに加えて、「群集心理」が働き、責任が分散されていることが挙げられます。

SNSは自分の思いを発信したり、他者のことをより知りたいと思う欲求を満たしたりと、人とのつながりを実感できるツールです。個人を公開している方もいますが、人によっては匿名で、知り合いだけでなく不特定多数の方と、あるいは興味のある有名人の方とのつながりを求めている方もいるでしょう。その匿名性と不特定多数の方が集まるところには「群集心理」が働くのです。

「群集心理」とは、多くの人が一か所に集まることにより起こる心理状態を指します。群集になると人は周囲と自分の区別がつかなくなります。例えば、知らないところに行列ができていたら興味本位で加わってしまう、ルールを乱す人たちの数が多ければその輪に加わってしまうなどの行動がそうです。群集心理が働くと人は、他者と同じ行動をとってしまったり、雰囲気に流されて合理的な判断ができなくなります。1人ではないという、責任が分散されている状態になってしまっていることで判断が鈍ってしまっているのです。

つまり攻撃性が増してしまう理由は、匿名性と群集心理が働くことで責任の分散が起こることにあります

SNSの誹謗中傷では、匿名性により1人のコメントが群集心理によって広がります。それが負の連鎖を呼んでしまい、最初はその1つの書き込みに対しての誹謗中傷だったものがその投稿者に対象が移り、「他の人もやっている」という責任の分散により、どんどん内容がエスカレートしてしまうのです。

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