ビューティー&ヘルス チャットで名指しで怒られる……。コロナ禍でパワハラが増加している背景

こんにちは、公認心理師、精神保健福祉士の水口明子です。先月の23日に厚生労働省より、2020年度の労災認定された実数が発表されました。ここで気になったのは、仕事が原因でうつ病などの精神障害を患い労災認定された数が1983年度の統計開始以降、2年連続で最多を更新したこと。そして原因別の中では昨年に認定基準項目に追加された「パワーハラスメント」が最も多かったことです。これはコロナ禍に入っていた2020年、パワハラに悩まされた方が多かったことが示されています。今回はコロナ禍で起こるパワハラについて、コロナ禍前後の違い、そしてパワハラ被害を訴えることの大切さについてお話しします。

これまでの連載:https://suits-woman.jp/beauty_health/habitmind/

チャットで個人に対する怒りをぶつけられる事例も

コロナ禍によって、ニューノーマルと言われるようにさまざまなものが変わっていきました。その中で仕事は大きな変化があった1つです。通勤からリモートに変わった方、通勤でも勤務時間が変化した方、雇用形態が変わった方もいるでしょう。また、通勤は変わらないものの、マスクや人との距離などの変化があり、従来の働くスタイルを維持している方は少ないと思われます。

パワハラには怒りを直接的にぶつけられるものと、周囲からの孤立を招くような間接的なものの大きく2つに分かれます(詳しい説明は、「昔は平気だった」「うちの職場では普通」はアウト!意外と無意識だから怖い、パワハラをする人の心理とは?をご覧ください)。働き方が変わった中、パワハラを訴える場面でも変化があったようです。

直接的に怒りをぶつけられるものでは、リモート会議中に名指しで怒られるものや、チャットなど社内で大勢が目に触れるところへの個人への注意が書き込まれているケースが出ているとのこと。リモート会議では複数が同時に会話することができないため、より1人の発言者に注目するようになっています。その中で名指しで怒られる行為は相当のダメージを与えられるでしょう。チャットも同様で大勢の目に触れるものとなります。

部下の孤立を招くような間接的なものでは、仕事を頼まない、存在の無視が挙げられます。孤立もコロナ禍により感じている方には強い孤独感を煽り、メンタル不調を起こす可能性があります。

パワハラが増えている理由として考えられるのは、コロナ禍という逃げ場のないストレスに晒され続けていることで、部下の方はもちろん、上司の方の心の余裕もないということ。ストレスの元であるストレッサーの原因だけではなく、他のさまざまな環境によりストレス耐性が左右されているからです。

パワハラをしている側を擁護するつもりはありませんが、上司の方も慣れない環境の中、部下の管理を任されているなどイレギュラーなストレスに晒されている状況でより過敏な反応をしてしまっている可能性もあります。

リモートでは相手の表情から感情を読み取りにくく、上司側がヒートアップしている可能性も。
1 2