「最近、よく眠れません。起きたとき、熟睡感がなく、疲れが残っています。眠れない日が続くと気持ちも落ち込んできます。仕事の能率も落ちるのでなかなか終わりません。それで残業で帰宅が遅くなって寝る時間が減ると焦ってしまうせいか、また眠れません。眠れないと思うだけでストレスも。こんな私に合う睡眠薬はなんでしょうか?」(事務系・29歳)
「睡眠薬・睡眠導入剤」と「睡眠改善薬」の違い
眠れない人が本当に多いと感じています。私の主催するセミナーやブログにも睡眠薬についての質問が数多く寄せられています。これから3回に分けて睡眠薬のお話をします。
はじめに睡眠薬の種類について知ってほしいと思います。日本では「睡眠薬」というとちょっとこわいというイメージがある半面、「睡眠薬」の知識が不足しているように思います。
「睡眠薬」は大きくは次の2つに分類されます。(1)睡眠薬・睡眠導入剤と(2)睡眠改善薬です。ふたつの違いがわかりますか?
(1)睡眠薬・睡眠導入剤は慢性的な不眠症状に使用する薬。医療用医薬品で医師の処方箋が必要。
(2)睡眠改善薬は、特に病的な症状がない人が、一時的に経験する不眠症状(寝つきが悪い、眠りが浅いなど)に使用する薬。一般用医薬品なので、ドラッグストアで入手できます。
「睡眠薬・睡眠導入剤」と「睡眠改善薬」とでは薬のレベルがまったく違います。もう少し詳しく説明します。
(1)の「睡眠薬・睡眠導入剤」は、大きくは抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬などとともに「向精神薬」に分類される薬です。脳の中枢神経に作用し、精神に何らかの影響を与えて眠りを得る薬です。眠れない症状=不眠症が長引いている人に使われる、かなり“強い”薬です。
市販の「睡眠改善薬」の主成分はかゆみ止め
これに対して、(2)の一時的な不眠症状に使われる「睡眠改善薬」の主成分はジフェンヒドラミン塩酸塩です。これは「かゆみ止め」の主成分と同じです。くしゃみ、鼻水、かゆみなどのアレルギー症状を抑える「抗ヒスタミン薬」の主成分です。
みなさんは「かゆみ止め」を飲んだ後、眠気を感じた経験がありませんか?ジフェンヒドラミン塩酸塩の副作用が「眠気」なのです。睡眠改善薬は、この副作用を応用したお薬です。
市販の「ドリエル」「グ・スリーP」「ネオデイ」などの睡眠改善薬の主成分はすべてジフェンヒドラミン塩酸塩です。