実はかなり多いようです、痔にお悩みの方。病院に行くのは気が重い……ですよね。市販薬で治るなら……と思う気持ちもよくわかります。では市販薬をどう使うのがいいのでしょうか?
薬剤師さんに説明しにくいのが難
今あるかゆみや痛みは、市販薬を使うことで、多少の違いはあれ軽減されると思います。かゆい部分をかきむしることによって炎症が悪化し、そこから細菌感染するおそれがあることから、かゆみは速やかに抑えるべきです。
ただし、痔の場合、ほかの病気や症状と違って、患部が自分でも見にくいことが悩ましい。ひとくちに痔と言っても、症状も痛み具合もさまざまです。いぼ痔が肛門の外側か内側か。出血があるかどうか、切れ痔かどうか。痔ろうになっていないかどうか……。これらは、患者本人にも正確に知ることはむずかしいでしょう。
ドラッグストアに行って、勇気を出して薬剤師に「痔のお薬を……」と相談しても、症状を詳しく説明することがむずかしい。薬剤師にしても、その痛みの原因がいぼ痔なのか切れ痔なのか、いぼ痔ならそれが肛門の内側にあるのか外側にあるのか、出血の原因が何か等々の情報が得られないなかでは、適切なお薬の処方にも限界があります。
そういう状況ですから、市販薬に期待しすぎないことを前提に使いましょう。そしてお薬の注意書きに書いてある使用期間を過ぎても症状が改善しないようなら、すぐ病院に行くのが賢明です。市販薬を使うのがいけないのではなく、症状を正しく診断できない状態が続くのが問題になるからです。
市販薬には弱めのステロイドが配合されている
ニーズが高いのでしょう、痔の市販薬は何種類も販売されています。主な有効成分は「抗炎症剤」と「鎮痛・かゆみ止め成分」です。
痔の薬の特徴は、抗炎症剤としてステロイドが配合されていることです。たとえば「ボラギノール」にはブレドニゾロン酢酸エステル、「ブリザエース」にはヒドロコルチゾン酢酸エステルというステロイドが使用されています。他メーカーの薬の多くも、この2つのうちどちらかを配合しています。「鎮痛・かゆみ止め成分」には、リドカインやジブカイン、塩化リゾチームなどが使われています。