いちばんの違いはワセリンの色
そしてもうひとつの主成分と言っていいのが、基剤のワセリンです。ご存知の通り、もっとも基本的な保湿剤です。スーッとさせて血流をよくした上にワセリンで患部を覆うことで、ひび、あかぎれを治してくれるのです。
しもやけも血行障害の一種ですから、血流をよくすることで改善します。血流がよくなるとしもやけ部分はかゆくなりますが、それをスーッとするメントールなどが鎮めてくれるというわけです。
このように考えますと、メンタームの説明書きにある大量の効能も理解できます。つまりメンソレータムおよびメンタームは、患部をスーッとさせて保湿するお薬なのです。
では、ロート製薬の「メンソレータム」と近江兄弟社の「メンターム」に何か違いがあるのでしょうか?あります。いちばんの違いはワセリンの種類です。「メンソレータム」は黄色ワセリンのみを使用。一方、「メンターム」は白色ワセリンと黄色ワセリンを使用し、白色のほうが多いです。
これは薬の色を見れば一目瞭然で、「メンソレータム」のほうが少し黄色いですよね。黄色と白色の違いはワセリンの精製度の差です。白いほうが精製度が高く、プロぺトは白色ワセリンをさらに精製したものです。
なので、より精製度の高い白色ワセリンか、黄色ワセリンに入っている硫黄化合物などの成分がまた患部にいいのだと考えるか。分かれ目はそこだと思いますが、現実的にはほとんど違いはないと考えられます。
以前「オロナイン軟膏」の話をしましたが、一家にひとつの常備薬として、メンソレータム(およびメンターム)とオロナインが双璧をなしているかと思われます。どちらもいちばんの有効成分は保湿剤です。薬効にそれほど大きな差はないと思いますが、使用感とにおいが違います。
オロナインには乳化剤などが添加されているので伸びがよく、なじみやすい。一方、メンソレータム(およびメンターム)のほうはほとんど添加物を使用していないため、ワセリン特有のベタッが残ります。においのほうは、オロナインにはオロナイン特有のにおい、メンソレータムにはメントールのにおいがあります。
ひびやあかぎれで手がガサガサになってしまう方、いちばん大事なのは保湿です。その意味では、基剤がほとんど保湿剤のメンソレータムは有効だと思います。保湿剤選びの参考にしてください。

ひび、あかぎれに「メンソレータム」。べったり塗って保湿しましょう。