男性不妊を知らずに……お金も時間もムダになりかねない
男性の詳細な不妊検査をしないまま、女性だけ不妊治療を受けているケースは決して少なくありません。このケースではお金も時間もムダになりかねないのです。
たとえば女性が32歳で治療を始めて、体外受精まで進んだが2年、3年ほど経っても授からない。そこで男性がより詳細な検査を受けると精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)がみつかった、といった場合。治療費の額を考えてみてください。体外受精の費用は1回60〜100万円以上かかります。1回で授かれば60〜100万円のところ、3回すれば少なくとも200万近くかかるわけです。最初から男性不妊に詳しい医師の元で検査を受けていれば、この場合であれば先に精索静脈瘤の手術をしていれば、3回も体外受精を繰り返さずに済んだかもしれません。もしかしたら、タイミング治療や人工授精で妊娠が可能だったかもしれません。
また、不妊クリニックの中には精子の質に問題があるとわかっていても、顕微授精でなんとかしましょうという医師が少なくありません。私の相談者さんには顕微授精を数回行なって、300万円使ったとご夫婦がいました。もっと早くに男性不妊専門の医師を訪ねていれば……とおっしゃっていました。
しかし失うのはお金だけではありません。お金よりもっと貴重なのが時間です。
30代半ばになると妊娠率は低下します。体外受精の成功率も低下し始めます。仮に32歳の時点で体外受精をしていれば1回で授かった可能性が高かったところが、35歳では2回、3回と試みることになりかねません。お金はなんとかできても、過ぎた時間は取り戻せません。そうした後悔をしないために、はじめに男性も検査する必要があります。

検査に行く、行かないで意見が合わない場合も……。