ビューティー&ヘルス 【フェムテック最前線】話題のシリンジ法、正しい使い方を知っていますか?

人工授精は、優良な精子だけを選りすぐって子宮内に直接注入します。そこに医師が介在するれっきとした医療です。シリンジ法キットを販売するサイトや、シリンジ法について書いた個人のブログなどには、シリンジ法をあたかも人工授精の代わりのように書いている文章も見受けられます。しかし、まったく別ものです。

よって、タイミング法をある程度の期間行って妊娠しなかったカップルが、「次はシリンジ法にトライ」というのは誤った選択といえます。タイミング法で授からなかった場合、次に検討するのは不妊検査や不妊治療です。

2つめは、シリンジ法で妊娠力が高まるわけではない、ということです。

たとえば、排卵日前に5回性行為をするのがタイヘン、2回で精一杯……というカップルが、「じゃ、3回はシリンジ法で」という場合に使うなら有効でしょう。トータル5回という回数が稼げるからです。しかし、もともと排卵日と思われる日に1回しか性行為していなかったカップルが、その1回をシリンジ法に代えても、妊娠の可能性は変わりません。あくまでも、性行為の回数を確保するのにシリンジ法は使える、ということです。

その意味では、先述のTENGAのシリンジ法キットが3回分セットで販売されているのは、理にかなっているなと思います。

通販では、50回分セットなど大ロットのキットが販売されていますが、タイミング法は1年以上も続けるものではありません。

シリンジ法を利用してもしなくても、タイミング法で妊活して1年(30代半ばなら半年くらい)妊娠しないようなら、不妊クリニックの受診をご検討ください。

シリンジのカテーテルにシリコンを使ったTENGAのシリンジ法のキット。

賢人のまとめ

シリンジ法は性機能障害のある方、性行為ができないカップルの妊活の一助になります。ただしタイミング法の過程で利用するものであり、人工授精ではありませんので、お間違えなく。

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賢人プロフィール

妊活の賢人笛吹和代

働く女性の健康と妊活・不妊に関する学びの場「女性の身体塾」を主宰する「Woman Lifestage Support」代表。日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー。臨床検査技師でもある。化粧品メーカーの開発部に勤務中、29歳で結婚。30代で不妊治療を経て出産。治療のために退職した経験から、現在は不妊や妊活に悩む女性のための講座やカウンセリングを行なっている。著書に『あきらめない妊活〜キャリアと不妊治療を両立させる方法』がある。