「ストレートネック」とは、病気ではなく、文字通り頸椎(首の骨)がまっすぐになった状態のことを言います。下の図を見るとおわかりになると思いますが、正常な頚椎には生理的なカーブが備わっています。ストレートネックでは、頭が前方に出た結果、頚椎がまっすぐに近い状態になっています(まれにカーブが反対に曲がっている場合もあります)。
近年は特に「ストレートネック」になっている方が多くなったと実感しています。整形外科や脳外科でレントゲンやMRI検査をした結果、「ストレートネック」と診断された方。肩こりや首の痛みに悩み、いろいろな病院で検査したが原因がわからず、困り果てて私のもとに来られた方。ネットでいろいろと調べて「自分の状態ももしや?」と思って来院された方など、多くの患者さんがこの「ストレートネック」による障害で辛い日々を過ごしています。そして、皆さんに共通しているのはパソコンやスマホを長時間使っていることです。特に、仕事でパソコンを長時間使用している女性はほとんどストレートネック状態なのでは、と思ってしまうぐらいの「流行病」なのです。
「ストレートネック」は、いまのところ正式な診断名にはなっていませんが、 この「ストレートネック」状態になると様々な症状を発生させる可能性があります。結果、日常生活に支障が出ている方も少なくないのです。
それではなぜ「ストレートネック」になるのでしょうか?
人間の背骨は、頸椎(首の骨)は7個、胸椎(背中の骨)が12個、腰椎(腰の骨)が5個で構成されています。そのうち、頸椎(首)と腰椎(腰)を合わせた12個は前へのカーブ、胸椎(背中)12個は後ろへのカーブです。その12対12で拮抗したバランスになります。そのバランスは、筋肉で支えられて成り立っています。ところが、座った時にねこ背姿勢(写真1)になると、この拮抗バランスが崩れます。なぜなら頭の位置が前にくるからです。そして前傾になればなるほど首のカーブは反対にならなければならなくなるのです。その状態の時は、誰でもストレートネックになっていると言っても過言ではありません。
ねこ背の座り姿勢(写真1)
頭が前に出て、耳と肩のラインがズレている
正しい座り姿勢(写真2)
耳と肩のラインがまっすぐ
この状態が固定して「ストレートネック」状態のままになってしまうのか、それとも正しい姿勢(写真2)を維持し筋肉が正しく作用して「正常のカーブ」に戻るのかは、その人の筋力や筋バランス、姿勢、身体の使い方などによります。
そこで、次回は「ストレートネック」をリセットするエクササイズをご紹介しましょう。