「私、また1円単位までワリカンにしたんです。そしたら彼は、『キッチリしている人って素敵だ』と褒めてくれたんですよ。それがすごくうれしくて……もっと話したいと思い、その日は彼の家に泊まってしまいました」
初対面のその日のうちに男女の関係になり、響子さんは彼にのめりこんでいったそうです。
「彼は40歳で大手企業に勤務しており、名刺ももらいました。朝、別れるときに『結婚を前提に真面目に付き合いたい』と言われました。2か月間の交際中、デートしたのは4回。いずれも彼のマンションです。デートの日程は前日にLINEが来て決まり、私が指定された時間に彼の家に行くのです。実家の話を聞くと『よく覚えていない』と言われ、出身大学名も言うたびに違うんです」
合うほどに、彼の実態がわからなくなったという響子さん。彼からもらった有名企業のメールアドレスに、メールする勇気はないと言います。
「先日、彼がシャワーを浴びている間にドキドキしながら財布を見ると、カード類は何も入っておらず、小銭と数万円のみ。彼が住むワンルームマンションも、妙に生活感がないというか……。タンスの中には、ほとんど衣類が入っていませんでした。その場面をシャワーから出てきた彼に見られてしまって、『今後一切、詮索しないでくれる?できないなら関係を考え直す』と言われてしまったのです」
外ではデートしない、名古屋での生活を聞いてもすべては曖昧……実態のない彼の正体を知りたいというのが、響子さんの願い。
「親には大企業で働いている人と結婚前提で付き合っていると言ってしまい、2人とも大喜びなのです。彼は言葉では『愛している。結婚しよう』と言っているけれど親や兄弟などの実態がわからない人だから、別れた方がいいのはわかっている。でも、初めての人だから真実を知りたいのです」

付き合ううちに、彼は身分を証明するものを一切持っていないことがわかった。
※本連載はプライバシーに配慮し、一部書き換えています。
「愛している。結婚しよう」愛の言葉をささやく彼の狙いと正体は?~その2~に続きます。