コラム 8年も「待つ女」が恐れた、彼が結婚を拒否する理由【浮気事件簿・後編】

横浜の探偵・山村佳子が調査した男と女の浮気事情。そこからわかる恋愛の表と裏を読み解いていく連載です。

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今回の依頼者・佳果さん(仮名・34歳)は派遣社員として働いています。結婚してくれない彼(44歳)を8年間待ち続けていますが、彼女は元カノを追って、月の半分を北海道で過ごす勤務形態を選びます。元カノは手編みのセーターとともに「家族と別れてあなたと一緒になりたい」という手紙を送ってきたと言います。

【これまでの経緯は前編で】

北海道の滞在先に鍋を持ってくる女性

尾行は、都内郊外にあるアパートからスタート。木造で築20年くらいの物件で、依頼者・佳果さんは1階に、彼は2階に住んでいます。

朝5時に出てきた彼を追い、探偵は羽田空港へ。新千歳空港で降りた彼は、バスに乗って札幌市内へ。軽く食事をすると、タクシーで10分程度の会社が所有する独身寮に入っていきます。

私たちはシェアリングカーを手配していたので、そのまま車内で待機。2時間ほどすると、ピンク色の軽自動車が来て、鍋を持った女性が中に入っていきます。それから5分もしないうちにクルマは走り去っていきました。

慌てて追うと、それは彼に送って来た荷物の送り主の住所と合致。元カノでした。新しい一戸建てで、家族がいるのでしょう、子供たちが笑う声が聞こえてきました。

3日間調査をしたのですが、彼は朝9時に出社し、17時に帰宅。1日目、2日目は何もなかったのですが、3日目に家には帰らず飲食店へ。

そこには、元カノが待っていました。優しい雰囲気で、落ち着いている美しい顔立ちの女性でした。どこか依頼者・佳果さんと似ています。

テーブルに着くと彼は「来てくれてうれしい」と彼女の手を握っています。彼女は優しく握り返して「私も会いたかったのよ」と言い、その後は目で会話をしている。

話を総合すると、彼と元カノは愛し合っています。しかし、元カノは夫のことも愛しているし、子供たちのことを大切に思っている。だから離婚は絶対にしないし、彼と不倫関係にまではならない。

「こうして手を繋いでいるだけで、若い頃を思い出すし、十分満たされる。私の裸を見たら、あなたがっかりするわよ。ずいぶん太っておばちゃんだもの」とホホホと笑っていました。

探偵の目から見ても、2人の会話は「ギリギリのところでやり取りする」という「遊び」を楽しんでいる感じがあるのです。これはかなり高度な恋愛ゲームです。

元カノは「あなたには可愛い彼女がいるんでしょ?」と。すると「いるけど、束縛が激しくて、言い訳もするし仕事のグチばかり話すし、ツメが甘いんだよね。結婚するってお互いに人生を預けるってことでしょ。酒を飲んでだらだらグチを言ったり…人間として腐っているんだよ」とまで言っていたのです。

聞けば、佳果さんの束縛はかなり激しい様子。GPSをオンにすること、毎日3回LINEをすることなど、多岐にわたっていました。

彼が話す佳果さんへの不満の声は大きくなっていきます。「そもそも、俺の彼女は俺じゃなくて、勤務先を愛しているんだよ」と言う声はひときわ響いていました。

彼女はそのまま帰ったのか?

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