コラム 乳がん母さんの明るい共病37|医学の進歩とインチキ医療の歴史の狭間で

私が乳がんになった時、「今の医学はすごく進んでいるから、きっと大丈夫よ」みたいなセリフ、あっちこっちからたくさんいただきました。

これまでのお話はコチラ

確かに、私のがんが発覚してからの7~8年でも、新しい治療法や薬がたくさん出ていますからね。20年なんてレンジで考えたら、治療法が一回転して全く別のものになってもおかしくないかも~?くらいの勢いで日進月歩です。

でもね、20年前でも「今の医学はすごく進んでいるから、きっと大丈夫よ」ってフツーにみんな言っていたような記憶はあります。

いや、それ、現在の医療のレベルから思うと「そこまで大丈夫なものではなかったのでは?」と思うし、20年後にも、現在の医療に対して同じように思うんじゃないかな、と思います。

じゃあ、「医学が進んでいるからきっと大丈夫よ」のラインって、どのあたりにあるのかな?って話ですよ。

実は私……、ってカミングアウトするほどの事でもないんですけど、実は私、好物なんですよ、インチキ医療の話が。けっこう、関連書籍も読んでいます。

ほんと、こちらの心のすき間を見逃さず、スルリと入り込んでくるあの手この手のバリエーションの豊富さには、「人間の想像力ってすごいなあ」と、素直に感心しちゃいます。

んで、インチキ医療の歴史とか読んでいると、案外、私たちが当たり前のように信じている現代医療って、つい最近のものなんだなあって思い知ります。

そうですね、いわゆるエビデンスにもとづいた現代医療って、だいたい20世紀に入ったくらいからですかね。

それまでに「医学」と呼ばれていたものって、ほんとスゴイですよ!! 

水銀風呂とかね。……いや、何なの?水銀風呂って!!

今では「人体に悪い」と誰でも知っている水銀が、秘薬として人気だった時代は長くて、秦の始皇帝は水銀中毒でなくなったと言われているし、アメリカの第16代大統領リンカーンも水銀入りの丸薬を服用していたらしいです。えっと……。その間って、千と何年くらい? 

もっとも、リンカーンは大統領になる前に、服薬の量を減らしたらしいので、ギリ命を落とさずに済んだという感じでしょうか。そうじゃなかったら、南北戦争はどうなっていたのかとか思うと、まあ間違いなく歴史は変わっていたでしょうね。

アヘンとかヒ素とかも、薬として使われていた時期はけっこう長いらしいです。

でね。古今東西のインチキ医療の実例を読んでいると、「人間の体のなかにある『悪いもの』が病気を引き起こすので、体から『悪いもの』を出してしまえば病気は治る」という思想が大半なのに気づいたんですよ。

まあ、わかんないでもないかな~~、その考え。当時はレントゲンなんてないわけだし。体のなかを覗くことはできないわけですしね。

でも、「悪いものを体から出す」ってのは、当時は「血を抜く」って事ですからね。「瀉血(しゃけつ)」って言うんですけど(あとは、浣腸とか嘔吐)。

天然痘も、ペストも、失恋からくる心の痛みも、ぜ~んぶ瀉血で解決!!どんな疾患にもオールマイティーな治療法、それが瀉血!!

ここで「んなわけあるかい!!」と、千鳥のノブにツッコんでほしい。大悟でもいいけど。

ちなみにモーツァルトは、亡くなる前の一週間で2リットルもの血を抜かれたらしいですよ。そりゃ死ぬわ。

当時、って中世ヨーロッパですけど。瀉血は髪の毛を整えるのと同様に理容師の仕事だったそうです。今でも残る、赤と青がグルグル回る床屋さんのシンボルマークはその名残で、人間の動脈と静脈を表しているという説もあります。いや、知らんけど。

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