ライターの高木沙織です。
最近、疲れると“歯”にくるんですよね。なんていうかこう、過去に治療した歯がうずくような。ズキズキともキリキリともちょっと違う、ズーンとかドーンとかいう鈍い痛みです。あれ、なんなんでしょう。頭痛と結託して襲い掛かってくることもあって、そんな日は軽めの地獄をみます。
実は口内の違和感には苦い思い出がある筆者。ちょっとの「ん?」にもビクビクしながら歯科を受診するようになったのは、親知らず抜歯後のこんな出来事がきっかけです。
親知らず、1本だけ抜いたその2年後になにが?
みなさん、親知らずって生えていますか?
筆者は上下左右、4本とも生えていました。「いました」ということは過去形。今はすべて抜歯済みなのですが、極めて深刻だったのは左下の親知らず。この子が歯茎から少しだけ顔を出したかと思ったら中途半端に横に生えまして、ほかの歯たちをグイグイ押すわけですよ。痛いし、放っておくと歯並びが悪くなるしでかかりつけの歯科で「抜きましょう!」って。
当時はたしか20代半ばくらいだったでしょうか。親知らずの抜歯といったら、ペンチでスポンッみたいな発想しかなかった筆者が「歯茎を切開して歯と骨の削除、縫合」というワードに震え上がったのは言うまでもありません。
でも、抜くしかない……。このときすでに、親知らずに押されて下の歯が1本前に出始めていたんです。それに、時間を空けると考え過ぎて怖くなるでしょう? 翌週には手術の予約をして、あの今までに感じたことのないあごや頭蓋骨へのガンガン・ゴリゴリという刺激と異音を「早く終われー!」、と祈るような気持ちでやり過ごしたのでした。
術後、痛みや出血は多少あったものの腫れ、しびれはなく、これにて親知らず問題はスッキリ解決!……のはずが、悲劇はその2年後。おにぎりをモグモグと食べていたときのことです。
今でも忘れることができない「バリッ!!」、というなんとも耳慣れない不快な音とともに奥歯に激痛が!
「竹みたいに割れてるね」で奥歯を抜歯、そのあとは?
歯科医師:「あー、高木さんこれね。奥歯が竹みたいに割れてるね」
(今、なんて? 竹がどうした?)
なんでも左下の奥歯が見事に縦真っ二つ、再起不能状態とのこと。抜歯をした親知らずの隣の歯なのですが、ここに上の親知らず&奥歯の2本分の圧が集中してもろくなっていたのだろうと言われたのです。
この歯もまた、泣く泣く抜くしかない……。
できるだけ歯を抜かないことで有名な歯科医師も、レントゲン写真を見るや否や大学病院へ紹介状を書くからそこで早急に手術をと。
呆然ですよ、歯が割れるなんてことが自分の身に起こるなんて。顔面を強打したわけでもなければ、ただ親知らずを抜いただけなのに! もしあのとき、上の親知らずもセットで抜いていたらこうはならなかったのでしょうか。戻れない過去を悔やみながらも、数日後には大きな大学病院で手術を受けることになったのでした。
あぁ、今ガリガリと削られているのは、4万円のセラミックの被せものでしょう。
ちなみに社会人になってから、奥歯の被せものを銀歯からセラミックへと変えていました。見た目の問題やのちの歯茎の変色、それからアレルギーなどのことを考えるとセラミックのほうが人体への親和性が高いと聞いて、総額約20万円ほどかけていたのです。
あと、航空会社の採用試験を受けるのにあたって定期的に歯のホワイトニングをしていたのですが、採用が決まってからも2~3か月に一回。2万円くらいかけていたなぁ、そういえば。
大人になってから口のなかはなにかと物入り。子ども時代の白くて生き生きとした歯が恋しい。
(抜歯のために4万円が削られていく……、無念)
でもね、本当の意味での衝撃はこのあとなんです。
歯科医師「高木さん、この抜いた奥歯のところは部分入れ歯とインプラントのどっちにしますか?」
って。
