コラム BAが見た、女の世界|女だらけの集合写真、撮り直し希望は自意識過剰とディスられる!

ライターの高木沙織です。

「#写真を撮るときだけマスクを外しています」というハッシュタグがついたSNSの投稿を見かけるようになって、一年余り。写真を撮ろうと声をかけることも、それを投稿することも、これまでとは違って気遣いや遠慮をともなうものになってしまいましたね。

とは言っても、私も写真は好きだし、あとでニヤニヤしながら眺めては、「こんなこともあったなあ」と楽しい思い出に浸ったりするのですが……。いかんせん写真写りがとても悪いため、自分の姿を確認しては別の意味での笑いがこみあげてきてしまって大変です。

スマートフォンやデジタルカメラがまだ普及していなかった頃。そう、ちょうどBA(ビューティーアドバイザー)時代の写真なんて、どんな顔をしていようが有無を言わせずに現像されてくるものだから残酷物語もいいところ。

いつの時代も女子は写真が好き?

スマートフォンのカメラ機能が驚くほど進化した今。明るさを補正してくれたり、加工アプリがあったりして、ここ数年で写真を撮るのも写るのもグッと楽しくなりましたよね。

だけど、青春時代にはスマホもデジカメもなかった昭和後期生まれの私です。高校生の頃は、インスタントカメラを学校に持っていって、同級生たちとなんでもない日常の写真を撮り合ったりしていました。ツールは違えど、女子はいつの時代も写真が好きなのかもしれませんね。

そうそう、あの頃は“写メ”なんてありませんでしたから、撮った写真を現像するのが楽しみで。というか、現像するまではどんな写真なのかわかりませんから、「変な顔で写ってないかな?」と妙にソワソワして、そのドキドキ感がまたよかったんです。

今でいうアプリの加工ももちろんありませんから、気に入らない写りだったときはポスカ(水性マーカー)で写真の顔に落書きをしたりして。懐かしいー!

それから時は進み、デジカメが普及してきたのはBAとして働き始めてしばらく経った頃でした。

「もう一枚撮りませんか」は自意識過剰なの?

高校時代、どちらかというと一人でいることが好きだった私は、写真もごく親しい限られた人たちとしか撮りませんでした。

なので、自分のカメラで撮った写真も、相手のカメラで撮った写真も現像したあと大勢に配られることはなく、変な顔で写っていても別によかった。いや、よくはないけれど、それほど気にしていなかったんですね。

それが社会人になり、就職先は女の園。

他ブランドのBAをあわせたら40~50人くらいの女性の集まりです。

他ブランドのBA:「ねえ、みんなで写真撮らない?」

ロッカールームでこんな声が飛び交うのは日常茶飯事。もちろんみんな、メイクはばっちりですから、キレイな自分の姿を残しておきたい気持ちもあったのでしょう。特に、新作のコスメが出たあとは入念にメイク直しをして、それはもう賑やかでした。

私もたまに、ええごくたまに輪のなかに入れてもらうことがあったのですが、そのあとは決まって変な顔で写っている写真を手渡され……。

これがほかのBAにも配られているのかと自分の写真写りの悪さを呪いつつも、仕方ないと納得するようにしていました。

事件が起こったのはそのあとです。

デジカメを買ったというBAがチラホラと出てくると、こんな出来事が。

他ブランドのボスBA:「デジカメ持ってきたから写真撮ろうよ!」

いつものロッカールームにみんなが集まります。デジカメは撮った写真をその場で画面に写しだせますから、ああでもない、こうでもないとまあ騒がしい。

その場にいた7~8人全員が写真を見終わり、騒々しさが落ち着いた頃です。

他ブランドのBA・Aさん:「やっぱりこの写真がいいなあ」
他ブランドのBA・Bさん:「えー、私はこっちがいいな。みんなもこっちって言ってたよね? 全員可愛く写ってるし」
他ブランドのBA・Aさん:「でも私の写り悪くない? じゃあ、もう一枚撮ろうよ」

と、Aさんの提案によりもう一枚写真を撮ることになったのでした。

(みんなちょっと面倒くさそう……)

そう思いましたが私は何も言わず、おとなしく元いたポジションへ。

そして、Aさんをはじめとする何人かのBAが帰ったあとです。

他ブランドのボスBA:「あの流れで撮り直しとか、空気読んでよって思わない? ちょっとくらい写りが悪くてもいいじゃない。自意識過剰なのかしら」
他ブランドのBA・Cさん:「あ、えっと……。そうですね」

写真写りが悪いことに慣れている私はもう諦めていますが、みんなの目に触れるのであれば少しでも可愛く写っていて、自分が納得できる一枚がいいですよね。わかりますとも。

それが自意識過剰と言われてしまうだなんて、やっぱり女の園は怖いところです。

ちなみにその写真でも私は変な顔だったけれど、口にチャックをしておいて正解だと小さく震えたのでした。

撮り直しNGに編み出した苦肉の策

それからも写真ブームは続き、私の変な顔も恒例となりましたがお年頃でしたから。

(少しでもよく写りたい!)
と、思うように。

では、どんな風に変な顔だったのでしょう?

カメラを向けられると緊張してしまうせいか、笑顔が超不自然なんです。歯を見せて笑うと、頬がぷっくりと盛り上がってたこ焼きみたい。鼻の穴は広がるし、奥二重の目はまぶたの脂肪に埋もれて完全に一重です。

免税店の社員:「このあいだ高木さんが写ってる写真見たんだけど、実物と随分違うね」

なんて言われるのもしょっちゅう。

だけど、“撮り直しのリクエストはNG”ですから。

そこで、比較的変な顔にならない笑顔の研究と、それをシャッターが切られる瞬間に作りだす練習を夜な夜な鏡の前で繰り返すことにしたのでした。

これまで「写真写りが」と散々言ってきましたけれど、結局は自分の顔があまり好きではなかったんですよね。この練習、結構しんどかったなあ。この笑顔いいじゃん、みたいな顔なんてなかったし。

それでも、努力の甲斐あってか多少はマシになったと思っていたら今度は……。

他ブランドのBA:「高木さんって、いつも同じ顔だよねー」

はい、そうです。その顔しかできないんです。
あれから10年以上経った最近の写真を見ても、同じ顔。もう何も言うなかれ……。これが限界なのです。

あー、写真に可愛く写るのって難しい(被写体の問題は置いておいて)。

あと、女同士の「〇〇ちゃん、可愛く写ってるよ!」は本当なのか……。信じるか信じないかはあなた次第です。

誰にも見られたくない笑顔を練習する姿! イラスト by Kato

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プロフィール

ライター/ヨガインストラクター高木沙織

「美」と「健康」には密接な関係があるため、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。野菜や果物、雑穀に関する資格を複数所有。”スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ヨガでは骨盤ヨガや産前・産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスでボディーメイクをサポート。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。近年はエッセイの執筆にも力を入れている。