コラム 筋金入りの音痴&リズム感なし!長年隠し続けたコンプレックスの先にあったもの

“音”と向き合わない暗黒期……

それからというもの、“音”を避けるようになり、距離を置いて過ごすこと15年。長っ!

友人にカラオケに誘われることがとにかく恐怖! 理由をつけては断り、付き合いが悪いと言われようと、音痴だということがバレないようにひた隠しにして過ごしてきました。

でもね、歌うことは好きなんです。だから、お風呂場で当時流行っていた歌を熱唱する。

すると、母から。

母:「これ、あげるよ」

手渡されたのは、テレビに繋いで使うハンディカラオケのマイク。自宅でカラオケができるという画期的なアイテムなのですが、母なりに筆者の音痴を不憫に思っていたようです。

ですが、これで思う存分歌いなさいというのと、よかったら練習にどうぞというのと、ふたつの気持ちが透けて見えていて、気恥ずかしくなった筆者はせっかくの好意を突っぱねてしまったのでした。

そんな暗黒期を終えたのは、わずか数年前。

これもまたカラオケに誘われたときなのですが、嘘をついて断わることが申し訳なくて、とうとうカミングアウトをしたんです。

筆者:「私、音痴なんだよね。だから、人前で歌うのはちょっと……」
友人:「えー、そんなこと気にしなくてもいいのに! 歌わなくてもいいし、好きなフライドポテトでも食べていればいいんだから。みんな沙織と一緒に行きたいんだよ!」

一瞬、天を仰いで鼻をつまみました(映画『涙そうそう』を見てから、涙を止めるためによくやるんです)。

これまでかかっていた暗雲がサーッと、どこかへ流れていったような晴れ晴れとした瞬間。

こんなことでよかったのか、もっと早くカミングアウトすればよかったなと。

そうそう、ダンスはもうする機会なんてありませんから、人様に恥ずかしい姿を見られる心配はありません。…なんて油断していたら、まさかのあんなところにまで敵が。

まさか、ここにも敵が潜んでいただなんて!

創作ダンスで無様な姿をさらした15歳の筆者。もう二度と人前で踊らないと心に誓い、まあ踊る機会なんてそうそうないことから何とかこれまで生きてきたわけです。

ところが、敵はこんなところにも潜んでいました。

それは、エクササイズ! 

曲がりなりにも、ヨガのインストラクターです。運動、しています。だから、エクササイズも得意なのですが、知人が考案したノリノリの音楽に合わせて体を動かすクラスに参加したとき、あの悪夢がよみがえってきたのです。

(ああ、私の腕と足がまたどうにかなっている!)

あまりの自分のヘンテコな動きに、思わずまわりをキョロキョロ。すると、参加者の何人かは気がついていたようで。

友人:「ちょっと、沙織ちゃん! 動きが変!」
筆者:「見ないでよー、もうこういうの本当にできないんだから!」

こうは言ったものの、また封印しなくてはいけないものが増えたと小さくため息。

ただ、できないなりにもこういうエクササイズってスッキリするんですよね。今のような、ストレスが溜まったり、運動不足に陥ったりしがちなときは特に。

なので、ひっそりと参加しているんです。オンラインレッスンで、ビデオをオフにして。

こうすれば、自室でひとり、どんな恥ずかしい動きになろうとまわりの目を気にすることなく思う存分エクササイズができるから。

何て素晴らしい文明の利器なのでしょうか。

そんなわけで、今日もドタバタと体を動かしているのでした。

ちなみに、そのあと。すっかりいい気分になって近所を散歩するのですが、漏れ聞こえる鼻歌はもちろん音程が取れていません。マスクをしているせいかしら?ということにして、それならOK、OKと。

“音程が不安定芸人”の仲間のみなさん、楽しんでいきましょう。

歌ったり踊ったりするのが嫌いなわけじゃあないのです。

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プロフィール

ライター/ヨガインストラクター高木沙織

「美」と「健康」には密接な関係があるため、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。野菜や果物、雑穀に関する資格を複数所有。”スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ヨガでは骨盤ヨガや産前・産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスでボディーメイクをサポート。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。近年はエッセイの執筆にも力を入れている。