コラム 田舎暮らし3日目、真っ暗な夜の作業場に響く「すすり泣き」の正体は…

ライターの高木沙織です。

これまでの人生で、引っ越しは全6回(2021年12月現在)。ほかにも、2度の海外留学を経験したり、航空会社で働いていたときは、真冬の北の大地に長期出張をしたり。今、振り返ると、“環境の変化”に直面することがしばしばありました。そして、例に漏れず、毎回“ホームシック”になるっていう。

留学をしたときは、2回とも3日目に風邪をひき、長期出張をしたときは、これまた3日目に39度のナゾの高熱を出してダウン。恐らく、全部メンタルからきています。

だけど、今回の引っ越し先は、おばあちゃんち。昔から馴染みのある家だし、家族もいるし、まさかこれまでのようなことはないだろう…って、思うじゃないですか?

それがまあ、こんなことになってしまったワケです。お恥ずかしい…。

1日目、知り尽くした家だから余裕!

まずは、引っ越し当日。

余裕、余裕! だって、よく来ていたおばあちゃんちですから。何なら、“おばあちゃんち体験ツアー”を組みましょうか?ってなくらいに、いろいろなことを知り尽くしています。

玄関の引き戸を開けると、反対側の戸も一緒に開いてしまうというトラップにも慣れたもの。

あ、トイレに行きたくなったら、お早めに。居間と客間を囲うコの字型の縁側をグルッとまわった先にあるので、余裕を持って向かわないと、「漏れそう!」なんてことになりますからね。

お風呂や台所は、東側へお進みください。あとから母屋に設えているので、途中の壁に継ぎはぎがあるけれど、同じ建物内です。なーんて。

そんな変わりどころ満載のおばあちゃんちは、築100年以上の歴史が刻み込まれた年代物。

筆者が使わせてもらうことになった6畳の和室は、今でいう8畳くらいの広さがある部屋で(昔のたたみは、大きさが違うため)、そこに山のような段ボールを運び込んだのがDay1。

余計な考えごとをする間もなく、ただただ必死の1日目は、夜ご飯を食べるのも忘れ、日付が変わるころに深い眠りに落ちたのでした。

夜ってこんなに暗かった?な、2日目

2日目の朝。

目が覚めると、誰かが起きている気配。

台所からは明かりが漏れ、「トントントンッ」という小気味いい包丁の音と、「グツグツ」という何かを鍋で煮込む音が聞こえるではありませんか。

布団から出ていくと、そこには朝食を作るおばあちゃんの姿。幸せな朝って、こういう感じ?

筆者:「おはよう!おばあちゃん早起きだね」
おばあちゃん:「おはよう。沙織は朝ご飯食べるか?」
筆者:「うん、お腹空いちゃった」
おばあちゃん:「じゃあ、その辺にあるもの適当に食べな。俺は、あっちで先に食べるから」

そう言って、自分の朝食を居間へ運ぶおばあちゃん。そのすぐあとを追いかけて、ビックリ。

(早っ! 嘘でしょ?)

おばあちゃん:「何だかこの年になると、あんまり食べられないんだよなあ。ズズッ(食後にお茶をすする音)」

大丈夫、あなたすでに、大盛りご飯をペロリと完食していますから…。という言葉は飲み込んで、「そっかあ」と話を合わせられる大人になった筆者。おばあちゃんが元気で何より! 

その後は、おばあちゃんは畑仕事。筆者は、原稿書きと片付け。気がつくと、昼を通り越して、辺りは真っ暗闇の夜です。

(ちょ、ちょっと…、真っ暗過ぎやしない? 何も見えないしっ!)

というのも、何を隠そうこの家。

まわりには木々や畑があるだけで、民家もなければ、街灯もない。日が落ちれば、頼りになるのは家のなかの明かりのみ。

しかも、おばあちゃんは19時過ぎには就寝。

もう1人、同居している兄もいるのだけれど、それでも明かりがついているのは、広い家のわずか1~2部屋というわけ。

夜って、こんなに暗いものだったんだなあと、どことなく心細い気持ちになって、22時には布団に入ったのでした。「ギュギュギューッ」という、ナチュラルヒーリングミュージック付きで(カエルの大合唱)。

街灯があるのが当たり前…じゃないんですよね。(画像はイメージです)
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