コラム BAが見た、女の世界|あちこちから悲鳴が!放電女による地獄のタッチアップ祭り

ライターの高木沙織です。

ニット素材の洋服を脱ぐとき。この「バチッ!」は、まだまだ序の口。ワンピースの下に着ているスリップやペチコートは、タイツとの摩擦で動くたびにバリッバリだし、常に足にまとわりついてくるしで、揚げ句の果てにはスカートまで引っ付いておかしな形になっちゃう。

髪の毛なんかは、“1とかし”でスーパーサイヤ人のごとく見事な逆毛に…。ついには、愛猫との戯れでも、バチチチチッ。これじゃあ、モフりたいのにモフれないっ!

クッ、静電気め! 時に、自分はデンキウナギなんじゃないかと思うほど静電気体質な筆者。そのせいで、BA(ビューティーアドバイザー)時代、お客様には多大なるご迷惑をおかけしましたことを、ここにお詫び申し上げます。

放電BAによるタッチアップ、地獄の時間の始まり

さてさて、3回に渡ってお届けしております「“超至近距離接客”でやらかした、とBAが後悔すること」。

第3位は、ニオイが強いものを食べてしまったことによる口臭、そして第2位は、お客様のまつ毛をたなびかせる鼻息。ちょっとヒントを散りばめ過ぎましたが…、それでは第1位を発表していきましょう。

ジャーーーン。

静電気の放電で、地獄のタッチアップ!

物に触れるときならまだしも、人に触れるとき。それも、タッチアップ(お客様にメイクを施すこと)をするときに、静電気を放電してしまっていたのです。

いやこれ、控えめに言って地獄ですよね。だって、顔にバチッですよ…。

乾いた空気&肌の乾燥で強烈なバチッ!

外気が乾燥して、空気中の水分が少なくなると、発生率が高まると言われる静電気。

人の肌も、水分量が少なく乾いていると、本来なら少しずつ放電されていく静電気が体内に溜め込まれやすくなるそうで。何かに触れた瞬間、いっぺんにバチッ。地味に不快なんですよね、静電気って。自分でもビックリするし。

ですが、当時20代前半の筆者は、静電気が発生するメカニズムなんて知りもせず、さらには自分の肌(主に手)が乾燥しているだなんてこれっぽっちも思っていませんでしたから、「もう、何でこんなにバチバチするの?」とモヤモヤ。

しかも、BAとして働き始めてからはひどくなっていく一方。お客様の顔に触れてスキンケアやメイクを施すタッチアップのときにも、放電してしまうようになったのです。

筆者:「それでは、導入美容液から塗っていきますね」
お客様:「はー…(コットンの端から手が触れた瞬間、バチッ)い、ヒッ!」
筆者:「ヒッ!も、申し訳ございません!」

また、あるとき。

筆者:「この色のリップグロス、とても人気な…(リップブラシを持つ手の一部が触れた瞬間、バチッ)ヒッ! 申し訳ございませんっ」
お客様:「…ウワッ(呆然)」

こんな具合です。

これはマズい…。お客様に申し訳なく、タッチアップをするのが怖い。接客をする前に、手をギュッと握ったり、こすり合わせたりして、何とか静電気が起こりませんようにと祈るのだけれど、逆効果。

そこで、売り場の責任者でもあるチーフに相談すると。

チーフ:「(筆者の手を取って)カサカサしてるわね、保湿をしなさい。このフロア(配属先の空港内免税店)って、季節を問わずにものすごく乾燥しているのよ。私たちもそうだけれど、お客様の肌も乾きがちになるから気をつけてね」

って。

確かに、BAはタッチアップ毎に手指を清潔にするし、そのタッチアップで使用したメイクブラシやスポンジ類を洗うことも頻繁にあるし、改めて自分の手を見て、触れて、ああ乾燥しているんだなあ、と。乾燥しているからバチバチだったんだなあ、と。

加えて、これから長距離便に搭乗するというお客様のなかには、化粧室でメイクを落とした後。スキンケア商品を試しに来店する方もチラホラ。肌がパリッとしていることもしばしば。

だけど、香りがついたハンドクリームを塗りたくった手で、お客様の顔にタッチアップをするわけにはいきません。

そうこうしている間にも、あちこちからお客様やBAの小さな悲鳴が。

そこで、静電気対策として、こんな贅沢な許可が下りることになったのでした。

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