働き女子はいつだって優しい癒しを求めている。だから、甘めでゆるめなラブストーリーをCandy BoyとSuits WOMANがプレゼンツ。今回の主人公は仕事に恋に疲れたアラサー、香澄。
厄年真っただ中と言える不運が重なっていたアラサーOLの私、湯本香澄が再就職したのはコスメを扱うECショップ「ガトーシュクレ」。社長はなんと若干22歳の大学生、奥村千晴(ちはる)さんだった!

大学生ながら大役もこなす、千晴社長。
千晴社長は語学も堪能でフランスに留学経験もあり、実家は某有名コスメブランドの会社だとか。そんな彼に認められて?なんと入社してすぐにプロジェクトリーダーに選ばれてしまった私。なぜか誕生日の夜を千晴社長と一緒に過ごすことになって以来、なんだか目が追ってしまう……。ヤバいな、私。<エピソード1はこちら>
明日は大事なプレゼン会議の日。たまたま見たテレビでやっていた、日本酒特集を見て思いついたプロジェクト。日本酒の美容効果を使ったコスメの開発。千晴社長に認められたいから、上手くいくといいな。
が、しかし、さっきから猛烈に足が痛い。「ガトーシュクレ」で働くようになってから、大人の女を演出しようと思って毎日、履いていたハイヒール。実は、慣れないヒールのせいで靴擦れができていた。朝から大事な打ち合わせがあるのに、足が痛くて歩きづらい。もう靴脱ぎたい……。
そんな時、まるでヨーロッパの街並みのような店構えのディスプレイが目に入ってきた。「la jolie rose(ラ・ジョリ・ローズ)」と名のついた店先には、映画『マリー・アントワネット』に出てきそうな可愛いパンプスや、洋服が目に入ってきた。
「こんな素敵な洋服や靴を選ぶなんて、きっとファッションセンスに敏感な女性がやっている店なのかな」
ディスプレイに飾られているパンプスが気になり見つめていると、スラっとした手足の男性が靴箱を何箱も運んでいた。こちらに気付くと、声を掛けてきてくれた。

靴箱を何箱も運んでいるこの男性の正体は?
「足が痛そうですけど、大丈夫ですか?」
品がよさそうなエプロン姿の彼は、絆創膏とハーフインソールを手にもって駆け寄ってきた。
「あっ、大丈夫です。もうすぐそこまでなので」
「いいんです。ちょっと靴を貸してもらえませんか?」
「えっ」
彼は、私のハイヒールを手に取るとインソールを中敷きに入れ、高さを調整してから渡してくれた。靴を見ている彼の眼差しは、真剣そのものだった。
「これでちょっと履いてみてくれますか?」
彼の手に掛かると、魔法のように靴が痛くなくなった。
「なに!これ。別の靴みたい!」
インソールの代金を、慌ててお財布から支払おうとすると、
「大丈夫ですよ。今度、良かったらうちの店に遊びに来てください」
靴を見つける職人のような鋭い視線からは一転、笑顔は子犬のように優しそう。靴を扱う手も指が長くてきれいな手で、まるで陶器を扱うように丁寧に靴を触ってくれた。千晴社長が、手を見ただけで相手の性格がわかるって言っていたっけ?
いつもと雰囲気が違う香澄に気付いた千晴社長!?