コラム 「夫婦寿命」はどう延ばす?結婚54周年カップルを観察して見えてきた妻の驚くべき素顔【後編】

アルム詔子の「日日是迷走」。

今回は、結婚54周年を迎えたカップル(両親です…)の話。今でも定期的に2人でドライブデートを楽しむ彼らだが、今回は、その夫婦円満? の秘訣を探ってみた。

後編は「『妻』至上主義」の父がいかに形成されたのか…というところから。

【前編はコチラから】

まさかの時代を先取りした「褒め育」だった?

久しぶりに実家に寄ると、姪っ子がある事実を教えてくれた。

「『花ちゃん(仮名、じつは孫にはおばあちゃんではなく、名前で呼ばせている母)』ってさ、スゴイねん」

「何が?」

「この前、家に、超巨大なクモが出たんやけど、ママ(姉のこと)も、じいじ(父のこと)もいーひんくて、『花ちゃん』に頼んだら…」

私は、姪から聞くまでもなく、その答えを知っていた。

「素手やろ?」

「そーやねん。いつもじいじに頼む『花ちゃん』がさあ、何が怖いのって笑いながら素手で、巨大クモをピッっと掴んで、外に出してくれてん」

そうなのだ。母には、驚くべき素顔がある。

一見、か弱そうに見えるのだが、じつは、彼女は何でもできる「オンナ」なのだ。

都会っ子の父とは違い、母は大自然の中で育ってきたため、虫やら野生動物やら怖いものがない(彼女曰く、唯一の例外はヘビだとか)。それに、彼女は結婚するまで看護師として働いていたから、エグイ現場を見ても驚かない鋼の精神力の持ち主なのだ。加えて、彼女には生粋の京女の意地が染みついている。だから、何があっても動じず、耐え忍ぶスキルを兼ね備えていた。

ちなみに、彼女の好きな言葉は、ハムラビ法典の「目には目を、歯に歯を」である。だが、父は、そんな母を知らない。「アイツには、俺がいないとな」という、ちょっぴり恥ずかしい「ひとり恋は盲目パターン」に完全に陥っているのだと分析した。

そんな2人の関係をこっそり観察していると…。

とにかく、母は何かと「太郎さーん(仮名)」と呼びつける。

やれ「瓶の蓋が開けられない」(んなアホな…)「クモが出た」(いやいや、取れるでしょうに…)「雷が怖い」(いくら父でもそれはムリでしょう(笑))など、多種多様な問題を使っておびき寄せる(クモかよ)。そして、まんまと父に問題を解決してもらうと、彼女は絶対に褒めることを忘れない。「やっぱり、太郎さん(仮名)ね」

ええっ。

コレって、とっても売れっ子キャバ嬢の極意なんじゃ…。

そんな娘の心配も露知らず、2人の生活は順調だ。テレビを見ては朝から熱い議論を交わし(隣に住む姉からの苦情あり)、譲り受けた犬の世話をしては喜び、父の趣味の絵に至っては、母は批評家気取りで父にあれこれと指南する。

そうか…。

なんとなくだが、全体像が少しずつ見えてきたような気がする。

母の「自然と…」のニュアンスが分かりかけてきたのである。

何をするのも2人は何故か楽しそう…なのです
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