この5年間で引っ越した地域は4道府県と、現在も点々と更新中。そんな移住生活で起きたオモシロ体験を綴る、アルム詔子の「京女の移住体験記」。
第1回は、誰もが1度は憧れる「北海道」での暮らしについて。
思い返せば、大自然の中での生活はホントに貴重な体験で、そしてホントに規格外…のコトばかり。なかでも、強烈な記憶として残っているのが「リアルサファリ生活」である。
なんてったって、北海道は野生動物の宝庫だ。
そんな場所で、まさか、あの動物に…?
都会からの新参者の私たちが悩まされるとは、思いもよらなかったのである。
北海道の人たちがみな恐れる動物とは…?
北海道を旅行すれば、一度はこんな声を掛けられる。
「キタキツネ、見たっしょ?」
なるほど。確かに「キタキツネ」は、北海道の代名詞みたいなものだ。
雪がしんしんと降る中、1匹のキタキツネが雪原に足跡を残していく…。そんな光景は、北海道に住んだことのない人でも容易に想像できるだろう。
思いの外、痩せ細ってはいるものの、現実でもキタキツネはその期待を裏切らない。移住前に何度か北海道を旅行したのだが、初めて目撃したときは、そのシンクロ度合いの高さに、自ずと歓声を上げたものだ。
しかし、そんなキタキツネも、北海道に「旅行」ではなく「移住」したと地元の人に話すと、ほぼ話題にはのぼらない。話が出たとしても、ありゃあ絶対に触っちゃあダメだ、と脅される。その代わりと言ってはなんだが、百発百中、ある動物が話題を独占するのだ。
その動物とは…まさかの「シカ」。
「シカ、道路に出てヤバいっしょ?」
北海道の人たちは、やたらと「シカ、ヤバイ」と連呼するのである(…個人的な感想です)。
ええっ。
「キタキツネ」はスルー?
んでもって、北海道の人たちが恐れるのは…「シカ」なのか?
正直、戸惑った。京都で生まれ育った私は、極端だが「シカ=奈良にいる生き物」という公式しか頭にない。今更ながらで恐縮だが、「奈良公園以外で、シカって…そんなやたらと道路に出てくるものなのか?」と、大いに混乱した。

そして、無知な私が出した結論はというと…。
──いやいや、またまた(笑)。
どっかのサファリパークじゃないんだからと、彼らの言葉を打ち消したのである。
しかし、いざ住んでみると、ホントにその通りだった。
シカは、私の予想に反して、かなり激ヤバの動物だったのである。
