コラム 京女の移住体験記│野生動物遭遇率が半端ない北海道!特に恐れられるのは…あの動物だった【後編】

アルム詔子の「京女の移住体験記」

今回は、北海道の人たちが恐れる激ヤバ動物の「シカ」について。

北海道に暮らせば、その意味が自ずと分かる。

どうして、地元の人たちが一様に「ヤバイ」と連呼するのか…。

後編は、剥製ばりのご立派なシカとバッタリ鉢合わせしたところから。

【前編はコチラから】

あれっ? 奈良のシカは「ホンモノ」じゃない?

目の前に、本物の「大シカ様」がいる…。

その瞬間、私のバックには、有名なアニメ映画「もののけ姫」のテーマ曲が流れた。ちなみに、これ以降、シカと遭遇すれば必ずやこの曲が脳内再生される。その理由は、全てこの初対面のときに遡る。 あまりのインパクトに、脳がばっちりと記憶したらしい。

ただ、現実は、そこまで悠長な雰囲気ではない。

迫力満載のエゾシカが、すぐそこ、30mも離れていないところにいるのだから。

あれっ?

目の前のヤツって……デカくない?

何と比較しているかというと、私の中の「シカ」映像である。もちろん、奈良公園の「シカ」たちだ。群れて、緩慢な動作をする彼ら。まずもって、奈良公園のシカは姿勢が悪い。それに、ずっと寝そべっている。良い意味では「穏やか」、悪い意味では「怠け者」の印象だ(奈良のシカよ、ごめん)。

ただ、鹿せんべいを持っているのがバレると、その様子は大きく異なってくる。最初は「せんべいちょーだい(ハート)」というご愛敬な態度だが、与えるのを渋ると、何頭ものシカが四方八方から迫って来る。さしずめ「くれえーーー」と狂暴化するゾンビのようだ(ゾンビ体験したいなら、奈良公園の中を、鹿せんべいを両手に持って歩くことをおススメする)。

そんな奈良公園のシカと対局な存在が、今目の前にいる「大シカ様」だ。

背がでかい。いや、違う。姿勢がいいのだ。剥製の置物のように、スッと立っている。立ち姿が、まさにモデルのようだ。加えて、体の全てが筋肉質だし、そのご立派な角が野生味溢れる、ある種の「凄み」を与えていた。1本の角の先が2~3本ほどに枝分かれしており、それが両サイドにあるものだから、余計に大きく見えるというワケである。

さらに、徹底的な差異は「人間との慣れ合い度」だ。その基準は彼らの「目」にあった。奈良公園のシカの目は垂れているのか? と思うほどに優しげだ。なんなら、少し人間への媚が見えなくもない。

けれど、この「大シカ様」の目は、ガラス玉のように透き通っていた。正も負も、何の感情も見えないのだ。だから余計に怖かった。あの角で突進されたら、コチラはひとたまりもないだろう。

「目を離すなよ」

「うん」

こういう時だけは、甘いパートナーから同僚の関係へと、即戻る私たち(元同僚でした…)。互いにスマホしか持っておらず、身を守る武器が何一つなかった。役立たずの自分を呪っても仕方がない。もう、頼れるものは己の眼力だけだ(パートナーじゃないのかよ)。

どれくらい睨み合いをしたのだろうか。

一方的にやられるくらいなら相討ちするしか…などと思って、少しだけ身じろぎをした途端、「大シカ様」は急にくるりと反転。

こうして、あっけなく去っていったのである。

これよりもまだガタイのいいエゾシカでした…
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