コラム 京女の移住体験記│北海道の美味グルメを求め…炭鉱の町「夕張」での衝撃食体験【前編】

恐るべし…B級グルメ。底なしのカレーそば

夕張市は、一時期、財政破綻した地方公共団体として、不名誉な評判を全国にとどろかせていた。しかし、当時の若手市長(現在の北海道知事)がクローズアップされたこともあり、次第に復興や再建の話題も出始めていた。

はて…そんな夕張とは、一体、どんな場所なのか。

興味津々に足を踏み入れて、まず、その風景に驚いた。

一瞬、住んでいる町内に戻ってきたのかと錯覚するほどだ。山に囲まれた大自然は言うまでもなく、過疎化が現在進行中の少し寂れた感じも、人通りがなく壊れかけた家が目立つところも、ほぼ同じ。

訪れた日が平日だったからか、それとも7月というのに肌寒く、町全体に靄がかかっていたからか。どちらにせよ、どんよりとした重たい雰囲気の中、正午過ぎにもかかわらず、到着してすぐ慌てて車のヘッドライトをつけたのである。

さてと…気分を取り直して、今回の訪問の目的を思い出す。

そもそも夕張に来たのは、「夕張メロン確保」という大仕事があるからだ。そのために、まずはしっかりと腹ごしらえをする必要がある。こうして、私たちは、駅前にある複数の飲食店が軒を連ねる屋台村に入ることにした。

もちろん、コチラは、ツアコンもどきの私が予めリサーチした店である。せっかく遠方まで足を伸ばすのだから、夕張のB級グルメ「カレーそば」を頂こうとなったのだ。

座って早速、お目当ての「カレーそば」を注文する。その場で現金を払い、元気に蛾やハエが飛び交うなか、時々、手で払いのけつつ黙って注文の品を待った。

その10分後。ようやく注目の品が運ばれてきた。

出てきたのは、大きめの丼に擦り切れいっぱいに入った茶色の液体。

「これが…?」と彼。

「そうや」と深くうなずく私。

ご当地の「B級グルメ」の看板を背負っているのだから、何かしら特長があるはずだ。それを確かめるべく、慎重にカレーそばを口に運ぶ。しかし…何分経っても劇的な変化はなかった。至って普通のカレーそばだ。強いていうなら、中辛らしいが、気持ち少し辛めの感じというくらいか。

そんな私に、突如、カレーそばの罠が襲いかかる。

次第に、口の中が「Hot!Hot!」(…藤井隆さんのアレです)状態となってきたのである。3口カレーそばで、一口の水。このインターバルを延々と続けていく。麺がふくれているのか、どんなにすすっても、一向に減っているようには見えない。底なし沼のような「カレーそば」に、ある種の恐怖すら感じた。

「これ、どこがB級グ…?」

「みなまで言うな」私はピシャリと彼の言葉を遮った。

確かに、日常的に食べられ、安くて美味しい庶民的な料理とのB級グルメの概念には当てはまる。けれど、せっかく遠方から来た身としては、もう少し、インパクトがあってもよかったのに…と思ってしまった。

これなら、もう1つのB級グルメである「夕張黒ラーメン」にすれば良かったなどと思いながら店を出た。まあ、黒い麺はイカ墨ラーメンで見栄えインパクト狙いだな…などとなめていたが、後日、イカ墨ではなく、炭鉱の町ゆえ、竹炭が練られていることを知った。

ええっ?

麺に「炭」…が入ってるって、一体…?

夕張市初心者としては、カレーそばが先でよかったのかもしれない。

【後編は「夕張メロン確保」の大仕事から】

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プロフィール

ライター/コラムニストアルム詔子

京都府出身のアラフォーライター。バリバリの組織人だった仕事漬けの生活を終わらせて、念願のフリーランスに。スタートは法律・教育・ビジネス関係のライターだが、今は歴史関連、神社仏閣、トラベル、職人探訪など分野を広げて取材、執筆を行っている。

プライベートでは、結婚・離婚・事実婚の「三婚」を経験。現在はパートナーと共に、日本各地を移住する生活を継続中。当サイトでは、「日日是迷走」のほか、事実婚までの道のりを綴った「おひとりさま脱出記」や、「京女の移住体験記」、不思議な話を集めた「5.5センス、信じますか?」を連載予定。