コラム 5.5センス、信じますか?│的中率がスゴイと評判のタロット占いへ…歌を口ずさんで驚きの未来予想【後編】

果たして、予言通りの結末になるか…

神聖なタロット占いである。あれほど口数の多かったオバちゃんも、やる時はやるのだ。静かに、精神を統一して、手先に集中して…と思いきや、まさかの光景が。

なんと、オバちゃんは、歌を口ずさんだのである。

静けさとは無縁の占い師だ。

オバちゃんはノリノリで口ずさみ、リズムに合わせてタロットカードを見事なまでにさばいていく。私たちは、しばし呆気に取られた。それでもなんとか我に返り、オバちゃんの指示通りに動く。私は自分の知りたい事を心で何度も唱え、左手でカードを3つに分けた。

オバちゃんは、3つのカードのブロックをまたしても1つにして、ピタッと手を止めた。カードを何枚かスルーさせ、一気にひし形のような配置でカードをめくりながら置いた。

「ふんふん、ああああ。そうなんや」の独り言が続く。

そうしてから、オバちゃんは結論だけ先に言った。

「うん、男できるで。9の数字やから、9月か、もしくはこの9ヵ月の間に出てくるな」

オバちゃん曰く、高給取りの男ではないと。どちらかというと、夢を追いかけているような男で、性格はホントにものすごくいいのだが、なんせ、生活力がないと断言した。性格だけが取り柄だから、あなたが養うのであればうまくいくと。そのような内容だったと記憶している。

私は、少し落胆した。

じつは、1つの質問を有効に使うべく、質問内容を直前で変えたのだ。もともと「問題の男(ヤツ)」との未来を訊こうとしていたのだが、ダメと言われれば、それで行き止まりだ。誰か違う相手が出現するかまでは分からない。しかし、私の未来全般について訊けば、彼との未来があれば「ヤツ」の存在が出てくるはずだと踏んだのである。

落胆した様子を見て取ったのか、オバちゃんは訊いた。

「誰か、気になる相手でもいたん?」

「います」と親友。

すかさず、私の代わりに、それだけ答えたのである。

すると、オバちゃんは、「その相手とどうなるか、見てみよう」と言い出した。残り1つの質問を仕事関係に割り当てていた私は、慌てて止めた。けれど、オバちゃんはバッサリと切り捨てた。

「いや、質問の数とかええねん。私が気になるやん。その相手とどうなんのか…」

と、いきなり歌を口ずさみ出したのである。ああああ。占いが始まっちゃうよお。私はおろおろしながら、結局、言われるがままに、再度タロットカードを3つに分けたのである。

オバちゃんはひし形に配置しながら、またしてもタロットカードをめくっていく。そして、一言。

「この男、腐れ縁やな」

私たちは、ギョッとした。確かに、出たカードを見れば、「悪魔(デビル)のカード」。全裸の2人の男女を鎖で繋ぎとめている様子が、なんとも生々しい。オバちゃんが説明してくれた。

「ほら、鎖で繋がれてるやろ。切っても切れへん関係やな。コレ、未来のカードやから。離れられへん関係やけど、タイミングは今じゃないし、正直、幸せにはならん。過去のカードを見ても、もともと前世から因縁ある関係やから、まあ、彼と付き合わんでも、一生、何らかの縁はある」

オバちゃんが、口コミで「最強占い師」や「霊感がある」といわれる所以は、コレだ。タロット占いだけで、こうしてズバズバと判断し、当ててくるところだ。じつは、私の仕事や彼とのこれまでの経緯など、オバちゃんはコチラ側の事情を全く知らない。一切聞かれないのだ。なんなら何歳かも、結婚しているかも興味がないらしい。背景を全く知らない状態で、ただ、タロットカードが指し示す結果を教えてくれるのだ。

この件以来、私はオバちゃんを信じた。かれこれ北海道に移住するまでの数年間、私は年に1回くらいの頻度で占いに行ったのである。なんなら、最後に訪れたときは、私とパートナーの彼に、北海道での移住は3年目で終了し、本州に戻るとまで言われた。

ちなみに、信じられないだろうが、「問題の男」については、何回占っても同じカードしか出てこない。

そして、オバちゃんはいつも「悪魔(デビル)のカード」を見ながら、こう断言する。

「腐れ縁の男やな」

なお、後日談だが。

問題の彼は、数年前にとうとう結婚した。私が現在のパートナーの彼と出逢って付き合い始めた頃のことだ。私たちは、ようやく別々の道を歩き始めたようだ。

それでも、彼とは未だに友情関係が続いている。

信頼できる大事な友人の1人であり、たまにサシでお酒も飲みに行く。

そんなとき、私は彼の横顔を見ながら、つくづく思う。

前世で一体、私たちはどんな因縁があったのだろうかと。

そして、来世で。

この「腐れ縁」は、解き放たれるのだろうかと。

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プロフィール

ライター/コラムニストアルム詔子

京都府出身のアラフォーライター。バリバリの組織人だった仕事漬けの生活を終わらせて、念願のフリーランスに。スタートは法律・教育・ビジネス関係のライターだが、今は歴史関連、神社仏閣、トラベル、職人探訪など分野を広げて取材、執筆を行っている。

プライベートでは、結婚・離婚・事実婚の「三婚」を経験。現在はパートナーと共に、日本各地を移住する生活を継続中。当サイトでは、「日日是迷走」のほか、事実婚までの道のりを綴った「おひとりさま脱出記」や、「京女の移住体験記」、不思議な話を集めた「5.5センス、信じますか?」を連載予定。