コラム 京女の移住体験記│富山県に移り住み、毎朝家の隣で鳴いていたのは…昔話で有名なアレ【後編】

アルム詔子の「京女の移住体験記」

今回は、北海道から次に移住した「富山県」でのオモシロ体験。

我が家の隣で、鳴き声を上げていた生物の知られざる実態に驚愕した話である。

後編は、石川県の能登島を訪れるところから。

【前編はコチラから】

能登島で初めて知った「キジ」の姿に興奮!

富山県に移住した1年目、私たちは休日になれば近くにある観光スポットを訪れた。そのうちの1つが、石川県の「能登島(のとじま)」である。

よく間違えられるが、あの突き出た石川県の先端の「能登半島」とは違う。その手前だ。七尾湾に浮かぶ小さな島で、外周は72キロ、人口は2500人ほど。2つの橋で本土と繋がっており、船で渡る必要もない。

この能登島、私たちの住んでいた場所からは車で2時間弱。少し遠出したいときのドライブには、うってつけの距離にあった。「古き良き日本」がそのまま残っているような雰囲気の島で、ちょうど3月下旬ころに訪れた際は国道沿いに桜が咲いていた。

野山に咲く自然の桜があまりにもキレイで、近くの駐車スポットに車を停めた。ゆっくりと写真撮影を満喫しているところで、まさかの彼が急に走り出す。一切ワケが分からぬ私は、とにかく後を追った。

ようやく追いつくと、彼が一眼レフのカメラを構えていた。

「な…な、なんなん?」と息が続かない私。

「アレ、『雉(キジ)』やと思う…」

「はあ?」

「だから、キジやって!」

「へ? あれが『キジ』?」

彼が静かに指さす方向には、1匹のずんぐりとした鳥がいた。ニワトリくらいの大きさで、フォルムも似ている。ただ、尾がすごく長かった。頭上に「とさか」のような赤いモノが見えたが、よく見るとそれは「とさか」ではなく、鳥そのものの顔が赤いコトが判明した。

なんとも、派手な鳥である。

多くの色を併せ持つからだろうか。胴体はというか、前面が深緑色。背面は首辺りが青で、そのまま背中にかけてライトブルーのような薄い色が続く。その上に茶系の模様が見えるが、詳細までは分からない。

これが日本の国鳥「雉(キジ)」です…

私は、生まれて初めて見た鳥に興奮した。

彼がスマホで写真を見せてくれた。確かに「雉(キジ)」のオスである。これが、日本の「国鳥」なのだ。あの昔話の「桃太郎」に出てくる鳥が、目の前にいるなんて。桃太郎ファンではないのだが、なぜか急にテンションが上がってくる。

恐らくだが、ドラマのロケ地ツアーなどに参加すれば、このような気分なのだろう。昔話やドラマなどの「2次元」と現実の世界が融合して、自分がその「2次元」の世界に行ったような気になるのだ。

「撮った?」

「いや、もうちょっと近付いて撮る」

「いいやん、もう、十分やって。撮ってよ」

「大丈夫やって。どうも、キジってさ、飛べへんみたいやねん。先からずっと見てるけど、ずっとあのまま走ってばっかりやし。絶対、ニワトリと同じなんやって」

そんなことを言いながら、そうっと近付く彼。

さらに1歩と足を出したところで、彼の意に反してキジが全力疾走した。ものすごいスピードで山の方へと向かっていく。後を追いかけて、彼も全力疾走。カメラを構えるとかではない。あれは、本気の男の猛ダッシュである。

いやいや…。

なんなら、捕まえる気なんじゃ…とあらぬ疑いをかけるほど。それでも、キジには到底追いつけず、さらには、彼を嘲笑うかのように、バタバタと羽根を動かし、低空飛行のまま飛んでいったのであった。

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