コラム なぜマスクを外す前と外した後の顔に必ずギャップがあるのか…を考えて見た【後編】

アルム詔子の「日日是迷走」。

今回は、コロナ禍で生活必需品となった「マスク」にまつわる話である。

マスクを外した相手の顔に違和感が生じるのは、なぜなのか。それも、不思議と、どんな人に対しても同じ感想を持ってしまうのである。

後半は、「顔の印象を決めるのはどのパーツなのか」という話から。

【前編はコチラから】

顔の印象を決めるのは「目元」?「口元」?

取材から帰って、パートナーの彼に打ち明けた。

「ほんで?」と彼。

「なんだか、マスクを外したら、別人なのよ、これがまた。なんでかな」

「ほう」

「今回の人もさ、鼻筋から口元がもちゃもちゃしてるというか、スッとしてないんよ」

ちなみに、取材対象者がイケメンだと思ったくだりは、伏せておく。

「でな、不思議と、全員、同じ感想になるねん。どんな人も、最後は、顔の下半分がもちゃっとしてるって。そんなん思ったことない?」

彼は、一言だけ「おそっ」と呟いた。

どうやら、マスクの下の顔にがっかりするのは、私だけではないという。これは、私が人一倍、想像力が逞しい人間だからではなく、脳に備わっている機能のせいだとか。脳は限られた情報から、正確に物事を認識しようとする。簡単にいえば、マスクの下に隠されている部分を補完して、整合的に捉えようとするのだ。

そして、マスクの下の部分を補完する際に、勝手ながら自分なりのイメージを膨らませてしまう。つまり、無意識に理想の顔へと近づけてしまうのだ。そんな想像上の顔と、実物の顔を見比べてしまうから、ギャップが生じるのである。

「コレって、もう、出尽くした話やん。今さら遅くないか?」

「えええ…そうなん?」

「まあ、この『がっかり』はさあ、相手だけじゃなくて、自分もそう思われてるってコトなんやで。ブーメランやな」

「確かに」

私は、考え込んだ。これほど鼻や口元で印象が変わるというコトは、顔の下半分の影響が大きいということなのか。

ふむ。ならば、逆であればどうなるのか。

「でもさ、顔の上半分を隠しても、そこまでがっかりせーへんやん?」と私。

「サングラスとか?」と彼。

「そうそう。北海道って、雪が反射するから、冬でもサングラスしてる人多かったやん。でも、サングラスを外して、ええっ? ってならんやん」

「そうか。目ちゃうやんとか、ならんか?」

「うん。思ったことない。そのまま受け入れられる気がする。それってさ、どういうコトなんやろ。目の部分が隠されても、脳からすれば選択肢が多過ぎて具体的に理想の目をイメージしにくいんかな」

「わからんな」と彼も考え込む。

結局、顔のどのパーツの影響力が大きいのか、その結論は出ないままとなった。ただ、相手にいらぬギャップを感じさせないためにも、出会った瞬間に自然とマスクを外して自己紹介するのが一番だということで一致した。

その夜。

この記事を書きながら、思い出した光景がある。

富山県で体験した幻想的な一夜。

それは、月明かりに照らされながら、顔の上半分を隠して踊る老若男女の姿だった。

コレが…富山県の風物詩「おわら風の盆」です
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