アルム詔子の「京女の移住体験記」
今回も、移住者が肌で感じた「北海道の冬の怖さ」をランキング形式でご紹介。果たして、第1位の内容とは?
後編は、新たなる恐怖の到来について。
住んでみないと分からない大雪の怖さ
あれからホワイトアウトを何度か経験した。
そのうち、先ほどご紹介した「人生初のホワイトアウト」はそこまでひどくはなかったのだと思うようになった。あの時はギリギリ運転もできたが、じつは一歩も動けないほどのものもあり、そのレベルは様々だと学んだのである。
一方で、北海道の冬に訪れる恐怖は、なにも「ホワイトアウト」だけではない。その事実を身を持って思い知った。全く違う理由だが、ホワイトアウトと同様、強烈に恐ろしい体験をしたのである。
それは、一体、何かというと…。
「雪」、それも「大雪」だ。「短時間」で「大量」の雪である。
ちなみに、猛吹雪にさらされるなどの激しさは一ミリもない。静かにしんしんと雪が降り積もる。ただ、それだけだ。だが、派手でインパクトがあるワケではないのに、これがじつに恐ろしい。どちらかというと、じわじわと来るような新しいタイプの恐怖である。ヤバイほどの底知れぬ不安を煽るのだ。
それは移住して2年目の冬のことだった。忘れもしない、2019年1月24日。
その日、北海道オホーツク海側で大雪や吹雪に警戒するようにとのニュースが流れた。
移住先のT町は、オホーツク海沿岸の紋別市より30㎞ほど内陸寄りにある。じつは、もともとT町は地理的に雪が多いエリアだと聞いていたのだが、移住した1年目は珍しく雪が少ない年だったとか。そのため、驚くような量の雪も降らず、私たちは安心しきっていたのである。
さながらオオカミ少年に騙される住民のように、「大雪」警戒情報が流れても、またまた…と侮っていた。既に経験しているくらいの雪だろうと、たかをくくっていたのである。
しかし、実際は天気予報通り、というか、それ以上の大雪が降った。
それが、あの恐怖の始まりだったのである。