コラム 京女の移住体験記│「立山」挑戦まであと2週間。標高754mの中級へとレベルアップした結末【前編】

この5年間で住んだ地域は4道府県と、現在も更新中。そんな移住生活のオモシロ体験を綴った、アルム詔子の「京女の移住体験記」。

今回は「立山」挑戦の3部作の2作目だ。登山ド素人の私たちが標高3000m級の山に実際に登った…ワケではなく、今回も引き続き、未だその準備段階での話である。

1作目の前回は、私たち(私とパートナーの彼)が共通の趣味探しを始め、人生初の登山に至るまでを事細かにお伝えした。様々なトラブルにもめげず、めでたく初心者向けの「尖山(とんがりやま、標高559m)」を制覇したのである。

そして、今回はというと…。

少しレベルアップして、「小佐波御前山(おざなみごぜんやま、標高754m)」に挑戦するという、要は人生2回目の登山の話となる。

果たして、その結末は…?

目標は高い方がいいなんて、幻想?

もう2度と恋なんて…いやいや、間違えた。もう2度と登山なんてしない…そう決めていた。

富山に移住してすぐのこと。8月の終わりに人生初の登山を経験し、「登山はサウナに似ている?」などど分かった気になっていた私。しかし、その結果、帰り道にすっ転んでドロドロとなり、下着なしで帰る始末。運動不足にもかかわらず見栄を張り、私のかわいい膝まで負傷したのである。

だから、心の中で「あばよ、登山」と決別した。

そんな私に、またもやパートナーの彼が、のほほんと話しかけてきた。初登山の翌日のことである。

「なんか、ちょっとした筋肉痛も、気持ちいいよなあ」と彼。

「…」

「心地よいっていうかさ、全身を動かしたっていう感じがしてさ」

「そ、そう…?」

「こりゃ、登山にハマるよなあ」

「う、うん…」

口数の少ない私に気付かず、彼は、即席の登山愛を長々と語り出した。ただでさえ、暑いのだ。うだるような気候の中で、そんな話に付き合いきれないと思ったところで、彼の一言が飛び出した。

「どうせならさ、せっかく富山に来たんだし『立山』とかいいよね?」

一語一句、本気でその意味が分からんと、そう思った。富山に来たついでに「立山」ってナニ? 登山者が憧れる「立山」は、近所の裏山なんかじゃない。室堂平の東側に連なる「雄山(おやま、標高3003m)」や「大汝山(おおなんじやま、同3015m)」など、標高3000m級の山々の総称を「立山」というのだ。

じつは、富山県には、有名な山岳観光の目玉となる「立山黒部アルペンルート」がある。富山県から長野県へと繋がるルートで、途中にはこの「立山」のみならず、雲上テラスの「大観峰」や、毎秒10トンもの水が放水される「黒部ダム」などもあって、見どころ満載なのだ。

「ほら、取材入れたら?」

「えっ?」

彼もうまいものである。私の仕事を「餌」にしようと考えたのだろう。

「せっかくだからさ、取材もしたら一石二鳥だって。山も登れて、仕事もできて」

いやいや、待て待て。まだ立山に挑戦するなど、決めたワケでは…。

ふむ。確かに、仕事とプライベートの一石二鳥。それも一理ある。

これからも「登山」を趣味として続けていこうよ。どうせなら目標は高い方がいいしさ。なんなら、この勢いで、今年中に行こう、立山。なかでも「雄山」は行きやすいって。行っちゃおうよ。そんな彼の説得は続く。

こうして、結局押し切られた。いつものことだ。

標高3000m級の「立山」の中の「雄山」への登山を決めた。さらに、これをただの夢で終わらせないよう、私はあえて取材の仕事を入れたのだった。

早速、取材のアポを取りました!
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