「まゆ子ちゃん、ホテル行こうか!?」
私はあまりに突然で、ストレートな言い方に腰を抜かしそうになりました。彼はまた肩に手を回して、耳元でささやくのです。
「まゆ子ちゃん、オレのこといいと思ってくれているんでしょ? 結婚前提で付き合うとなると身体の相性ってすごく大事だよね! とりあえずトライしてみようよ♪」
その強引な誘いに、私は頭が真っ白になりました。
「いや、まだ付き合ってもないのに無理です……」
私がもう一度肩から彼の手を振り払うと、彼は、
「じゃあさ、今から付き合おうよ。そしたら問題ないだろ?! お互い結婚したいと思っているんだし、もうオレたち若くないし。勢いって大事だよ。いい大人なんだし、こうやって始まる恋愛もアリでしょう……」
彼の発言がもう「早くやらせろ!」と言っているようにしか聞こえず、私は今すぐ逃げ出したくなりました。
「ごめんなさい! 私はそんな気持ちになれないんで、帰ります!!」
そう言って、私はとりあえず走りました。彼は追って来ませんでした。しばらくすると着信がありましたが、それ以上の連絡はありませんでした。
私は家まで逃げるように帰りました。家に帰るとベッドに倒れこみ、そしてまた涙があふれてきました。
彼に対する怒り
自分のあいまいな気持ち
焦り
不安……
「私、また何をやっているんだろう」