コラム 同一労働と同一業務の違いは!?元派遣社員の弁護士が、同一労働同一賃金の5つのポイントを解説~その2~

同一労働同一賃金について、その1では、制度と先日の最高裁判決の概要をお話しました。~その1~はコチラ

キャッチーな言葉は、世間に広く知ってもらうためには効果的ですが、同一労働同一賃金については、言葉のまま捉えると誤解が生じるようにも思います。
そこで、その2では具体例を挙げながら、同一労働同一賃金について考える際の視点を考えてみたいと思います。

「同一労働」とは、同一業務とイコールではない。責任の程度なども考慮する

「同一労働」というと、まずは、同じ業務を行なっていることが浮かぶと思います。
しかし、同じ業務を行なっているだけでは、同一労働とはいえません。

厚労省のガイドラインによると、労働条件の相違が不合理かどうかを考える際の着目点は、以下であるとされています。

(1)職務の内容(業務内容 + 責任)
これは「業務の内容」と「責任の程度」という2つの要素を含むことがポイントです。

厚労省や判例等では、「職務の内容」という言葉は、業務の内容と責任の程度の2つを含む意味で使用されています。
“職務”と“業務”は似たような言葉のため、誤解しやすいですが、同一労働同一賃金を考える際の「職務の内容」は、この2つをセットで考えることになります。

例えば、同じ業務をしているように見えても、責任の程度が異なるならば、待遇に差が生じても許される可能性がある、ということです。

(2)職務の内容や配置の変更の範囲
これは転勤、昇進といった人事異動や本人の役割の変化があるか、変化の程度はどうか、といったことになります。

例えば、幹部候補である正社員が現場を知るために非正社員と共に同じ業務を行なっているような場合が考えられます。

(3)その他の事情
合理的な労使慣行などの諸事情が想定されています。

「同一賃金」とは、「同一給与」とイコールではない。待遇も考える

「同一賃金」というと、まずは、給与額が同一かどうかが浮かぶと思います。
しかし、先の判例でも争われたように、同一労働同一賃金の目的は不合理な待遇格差の解消にあります。
そのため、「同一賃金」という言葉については、“同一待遇”と広い意味でとらえる必要があります。

そして、正社員と非正社員との間で待遇に差がある場合には、同一労働の視点(1)~(3)と、以下の視点を併せて、その格差が不合理かどうかを考えていくことになります。
(4)その待遇の性質
(5)その待遇を行なう目的

例えば通勤手当、食堂の利用、安全管理などについては、労働するための前提ともいえる性質のものですから、特段の理由がない限り、正社員と非正社員とで格差を設けることは合理的とは認められないでしょう。

これに対して、例えば、従業員に昼食をとってもらう目的で食堂の利用をフルタイム正社員に認めていた場合に、昼食時にかからない時間帯で働く短時間労働の非正社員については食堂の利用を認めないというケースについては、正社員と差があっても不合理とはいえないと予想されます。

ボーナスについても、ボーナスの性質や目的が、業績に対するその労働者の功績に応じて支給しているものならば、業績等への同一の貢献がある非正社員に、功績に応じた賞与を支給しないことは、不合理であるということになります。

ボーナスについては、人件費の弾力性を高めつつ長期スパンで人材を確保するといった目的で支給する場合もあり、合理性の判断については、支給する目的等をより吟味する必要があると想定されます。

お昼時間にかぶらない時短勤務の非正規社員は、食堂を使えなくても不合理じゃない……。
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