コラム 初めての裁判傍聴で事件を選ぶ基準は?裁判傍聴について弁護士が説明します

刑事事件を傍聴したい場合

開廷表に、犯罪名や「被告人」「罪名」といった記載があるものが刑事事件です。
注意点は、刑事事件は「被告人」、民事事件は「被告」という言葉を使うことです。「人」がついているほうが刑事事件です。

刑事事件は、「新件」「審理」「判決」のいずれかに区分されて、開廷表に記載されています。
初めて傍聴される方には、手続の初回である「新件」をおすすめします。

「新件」では、検察官が起訴状を朗読する手続等が行われますが、被告人が罪を認めている事件では、証拠調べ、証人尋問、被告人への質問などの手続が、続けて行われる場合があります。
事件によっては、検察官の求刑まで行われ、判決の前までの流れを一通り見ることができます。

「審理」には、どの証拠を裁判で使うかを吟味する手続の場合や、尋問の場合などがあり、事件の概要がわからないと、内容がつかみにくい可能性があります。

「判決」では、文字通り判決が言い渡されます。

もし、裁判員裁判事件があれば、よりおすすめです。
裁判員裁判では、国民に理解しやすい言葉や説明で手続が進められます。

民事事件を傍聴したい場合

民事事件では、ほとんどの事件名に「請求」という言葉が入っています。

民事事件では、予め裁判所に出した書類等について語られるといったシーンが多いので、法廷で何が行われているかが刑事事件よりも解りにくいかもしれません。

傍聴席からは聞き取りにくいと思いますが、民事事件では、裁判官が、弁護士に対して「〇〇書類について陳述しますか?」や「証拠〇〇を提出しますか?」との質問が交わされ、弁護士は「はい」、「陳述します」や「提出します」などを答えるやり取りがよく行われています。

これは、法律では主張等は口頭ですることになっているために、行われているものです。
何ページもの量を全部口頭するのは合理的でないので、書面を出して「陳述する」と言うことで、口頭で行ったと扱っているのです。

このように、民事事件の裁判では、書類等について法廷で一言添えるだけの手続が多いので、尋問を除いて、手続の時間が短いことが多いです(刑事事件の裁判では、判決以外はある程度まとまった時間が手続に費やされることが通常です)。

尋問では、弁護士と当事者や証人とのやりとりを、時間をかけて見ることができます。
事件の概要がわからないと、始めは尋問の意味がつかみにくいかもしれませんが、よく聴いていると事件の概要が伝わってきます。

どの手続が行われるかは、開廷表に記載された「判決」という記載の有無と「時間の長さ」で予測することになります。

「判決」という言葉が記載されている場合は、文字通り、判決の言い渡しがされます。

「判決」でないもののうち、開廷表に、同じ法廷の同じ時間に複数の事件名が記載されていたり、数分間隔で事件名が記載されている場合は、短い時間で終了します。

これに対して、長い時間を確保している場合は、尋問の可能性が高いです。

☆☆☆

初めての方には刑事事件のほうがおすすめですが、民事事件でも開廷表を見て長い時間を確保しているものを選んでみてください。

まとめ:初めての裁判傍聴は、地方裁判所で刑事事件の「新件」

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プロフィール

弁護士熊王斉子

弁護士。派遣で働きながら司法試験の受験を続け、度重なる不合格にめげず弁護士となる。司法試験合格までに転々とした派遣先は30社以上。図らずも、この多業種での職場経験が活きることになり、現在は企業にまつわる案件を主に取り扱っている。日本化粧品検定1級合格。好きな言葉は、「あきらめたら そこで試合終了ですよ」「来た船には乗ってみる」。島村法律会計事務所https://simamura-law-ac.jimdofree.com/