コラム 電子署名とは名前を書くという意味だけじゃない!弁護士が詳しく説明します

「電子署名」という言葉については、ペーパーレス化が進んできたこともあり、耳にすることが多くなってきたかと思います。
筆者も、「インターネットで検索したが、情報が多すぎて、よくわからない。結局は何なのですか?」という質問を受けることが増えてきました。

そこで、今回は、「電子署名」がまだよくわからない方に向けて、ゼロからの一歩を踏み出す際におさえておきたい大枠を、お話したいと思います。

「電子署名」という言葉は多義的。人や文脈によって、指している意味が異なる

今回、一番お伝えしたいことは、この点です。

「電子署名」という言葉については、電子署名法と呼ばれる法律が存在します。
電子署名法でいう電子署名は、ある程度以上の高度な技術により、電子文書の弱点(他人がなりすまして作ってもバレにくい、改ざんされやすい)がフォローされているなど、一定の要件を充たしたもののみを指します。

しかし、「電子署名」という言葉は、現時点では、電子署名法で指す意味だけに限らず、非常に多義的に使われていて、文脈や表現する人によって指している意味が異なります。

多義的とは、例えば「おじさん」という言葉なら、中年男性一般を指すこともあれば、父母の兄弟(親戚)を指すこともあり、学生の頃など友人の父親のことを「○○君のおじさん」と表現する人もいる、というように、文脈や表現する人によって指す意味が異なるということです。

そして、「おじさん」は、世間に定着しているため、指す意味のパターンがある程度絞られていますが、「電子署名」は、まだ世間に定着しきっていないので、表現する人によって指す意味にかなり幅がある状態です。

「電子署名」については、今後その意味が確定していくとは予想されますが、少なくとも現時点では、文脈や表現する人によって指している意味に幅があるとイメージしておくと、会話や検索をするときの混乱が少なくなると思います。

ゼロからの一歩としては、電子署名とは「意思を、デジタルな方法で記録する」ことと、まずはざっくりイメージしておいてください。

代表的なのは、契約をするという意思をサインやクリックなどの方法で示すと、それに関するいろいろなデータが電子文書等に記録されるというイメージです。

「意思を、デジタルな方法で記録する」方法や分類は様々

「意思を、デジタルな方法で記録する」ものとしては、電子署名のほか、電子印鑑、電子サイン、デジタル署名など、似たような言葉がいくつもあります。

これらの分類に関しては、大きく2つの考え方があります。

1つは、電子署名法でいう電子署名のみを「電子署名」と呼ぶ考え方です。
この考え方によると、電子署名法の要件を充たさないものは、電子署名とは別のものということになります。

もう1つは、電子署名の意味を広くとらえ、広い意味の電子署名には、いろいろな方法があるという考え方です。筆者は、この考え方を前提に説明しています。
この考え方によると、電子署名に分類されるものの、別の呼び方がある、ということになります。

仕事等で調べる必要性がある場合は、「ここでは、そういう分類で説明している」と割り切って、呼び方や分類に縛られずに、何をすることなのかという点のほうに、注力するのがいいと思います。

「電子印鑑」「電子サイン」「デジタル署名」

広い意味での電子署名に含めるかどうかはさておき、「意思を、デジタルな方法で記録する」手段の中には、独立した呼び方が定着しつつあるものもあります。

「電子印鑑」は、決裁する意思を記録するために、エクセル等で作ったハンコの画像を電子文書に貼ることを指している場合が多いようです。

「電子サイン」は、電子署名法でいう電子署名と、電子署名法の要件までは充たさないが似たような技術の電子署名とを含める場合が多いようです。

「デジタル署名」は、かなり高度な技術的方法による電子署名を指すとする考え方が多いようですが、単に電子署名をカタカナで言い換えただけという認識で表現している場合もあるので注意が必要です。

ざっくり触れるにとどめますが、これらの言葉も、定着しきっていない現時点では、指す意味が文脈や人によって異なっていることがあります。

ペーパーレスに取り組む企業では、今は普通に電子署名を利用している。
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