コラム 外出自粛で家飲みが習慣化してきた人は要注意!他人事じゃない「アルコール依存症」のきっかけ~その2~

最近、「外出自粛で家飲みの酒量が増えちゃってヤバい」という話を、あちこちで耳にします。言っている人たちはそこまで深刻にならずに話題にしているのだと思いますが、そんな人たちには「アルコール依存症」になってしまうおそれがあるのです。実はアルコール依存症って、「晩酌のクセがついているだけ」と思ってる間に酒量がだんだん増え、いつの間にか……という流れで罹ってしまうおそれのある、入り口のあいまいな、怖い病気です。

実際、コロナ禍の影響で、アルコール依存症に関する相談件数が昨年の2倍になった、というニュースも出ました。

……というわけで、筆者の飲み仲間の「親族のアルコール依存症で苦労した話」をご紹介しつつ、「外出自粛中の家飲みで、うっかりアルコール依存症の入り口に立たない飲み方」を考察していこうと思います。

その1では、筆者の飲み仲間・タカノくん(仮名:30代後半男性・既婚・会社員)のお母様のアルコール依存症の発症・一時更生を繰り返した10年間の経緯と、元凶をから離れて本格的に持ち直しつつあった当時の状況をご紹介しました。~その1~はコチラ

後編では、当時タカノくんのお母様の状況を誰よりも理解し、前向きにサポートしてくれていた伯母様(お母様の実の姉。ご本人も深刻なアルコール依存症を克服された経験者)に関して「あの人は危険だ、お母さんと引き離すべき」と忠告してきた、意外な人物の話を、まずご紹介します。

忠告者は、なんとアルコール依存症を克服した伯母の実子!懸念するのも無理のない「伯母の過去」とは?

タカノくんに忠告してきたのは、伯母の実子、つまりタカノくんの従兄妹でした。伯母が依存症を克服するまでの「大変悪い時期」を見てきて、かつ「アルコール依存症に罹った脳は元に戻らない」ことも知っている従兄妹は、

「病気の者同士を同居させて、もし共倒れになったらどうする?」

と切実に心配していたのです。

タカノくんとしては

「心配する気持ちもわかるし、伯母さんに甘えさえてもらって恐縮だけれども、伯母さんのおかげで母もようやく持ち直してきて、仕事も始める事ができた。もう少し同居で様子を見させてほしい」

と頼んだそう。すると従兄妹は「うちの母が依存症発症時、どれだけひどい状態だったか」を説明してきました。

比較対象として、まず、タカノくんの実母のケースを説明します。

タカノくんの実母はアルコールを飲みだすとリミットを振り切るまで飲んでしまい、自宅で昏倒するように寝る(まだ他者に気づかれていない)状態が進行して、飲んでいる最中に体が動かなくなり、自ら病院に通報、救急車で運ばれる……というのが、全3回に共通する「最も悪い状態」でした。ですので、最も大きな問題は「健康状態」。次が「お金」です。

「酩酊してお金の苦労を忘れたい」という精神状態がアルコールに向かわせる一つの要因とも考えられ、タカノくんの実母には「お金の計算を壊滅的に忘れる」という傾向が出たそう。母親が倒れるごとに、いくつか「忘れ去った支払い」が見つかり、家族でサポートしたそうです。

対して、伯母はアルコール依存が進行していく最中、「躁鬱」などの精神的な症状が出たそうで。お酒に向かわせた原因は、子ども達が巣立ったあと、懇意にしていた親友の病死の寂しさではないか?という事。酩酊すると手首を切ったり、自宅に放火するなど、周囲も巻き込む激しい自傷行動を何度か繰り返すように。それでも本人は最初は自分の病気を認めず、専門的な治療機関で闘病することをかたくなに拒んだそうです。しかし自宅に放火した(近所から通報されて助かった)のち、子ども達が無理やり専門機関に入院させ、そこで長い時間をかけて「自分の病気」を自覚させるところから始まり、ようやく更生した、との事で。

タカノくんの従兄妹はその時の事がトラウマになり、

「更生してからも、いつあの状態に戻ってしまうか?って、今でもずっと怖いまま。更生後、子どもたちで食事の機会を作ったり、旅行に連れてったり、腫れ物に触るような気持ちで母を扱ってきた。母は外ヅラがいいからわかりにくいけれど、いまだに怖くてたまらない。それなのに、同じ病気の人間同士で同居するなんて、うまくいってる時は良くても、万が一のことがあったら?共倒れになったら、おたくのお母さんだって、ただでは済まないかもしれないよ?その怖さ、わかってる?」

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