コラム バーは「接待」?それとも「接客」?…コロナ禍の「夜の街」はどんな店を指すのか~その1~

「バー」と一口に言っても、業務内容は実にさまざま

緊急事態宣言の発令下で、東京都が「協力」を出した業種の一覧表では「バー」は「遊興施設等」として記載されており、「基本的に休止を要請(特措法施行令第11条に該当するもの)」の対象、と書かれていました。

対して、お酒を扱うという点では同じ「居酒屋」は「飲食店(居酒屋を含む)」という形で明記され、分類カテゴリは「社会生活を維持する上で必要な施設」の中の「食事提供施設」であり、要請される「協力」の内容は「適切な感染防止対策の協力要請、営業時間短縮の協力要請」でした。

前者「遊興施設」の他の業種ラインアップは「キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、ダーツバー、パブ、性風俗店、デリヘル、アダルトショップ、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、ライブハウス、射的場、場外馬券場等」です。

これを見た、冒頭のダイニング・バー・スタッフの北野くん(仮名:30代)は、「ここに書かれてる『バー』って、夜の蝶が接客する『ラウンジ・バー』とか『スナック』系の店のことで、自分の勤務先のように、飲食することがメインの『バー』は、むしろ『食事提供施設』に類されてしかるべきなんじゃ?」という、不公平感を感じたそうです。その点についてオーナーに相談したところ「でも『ダイニング・バー』という形で営業しているからには『バー』に入ってしまうはずなので、『感染拡大防止協力金』に頼って当座の窮地をしのぐためには、全面的に休業するしかない」と言われたそう。

しかし、お店の名前に「ダイニング・バー」と入っているわけでもなかったので、「では、今からでも業務内容の登録を『バー』ではなく『居酒屋』に変更して、ランチやデリバリーなど行なって、少しでも売り上げをたてる努力をできないでしょうか?今後、コロナ禍が長引く事も見越して、デリバリー導入の助成金なども申請できる体制にしたほうが得策では?」と提案、オーナーも賛成し、こうした変更が可能かどうか、管轄の公的機関に相談に行ったのだそうです。

すると、オーナーも見落としていた意外な事実が発覚!なんと、北野くんの勤務先の登録内容は「飲食店」であり、「バー」というカテゴリは書類上は関係なく、概念でしかなかった、というのです。その見落としが発覚するまで、「うちは『バー』だから『感染拡大防止協力金』に頼るためには、全面休業しなければ」とお店を休んでいました。そして見落とし発覚後、すぐさま日中から夜7時までの「テイクアウトフード」を売り始める体制になったのです。

ここをぼんやりさせてしまう必要は果たしてあるのか……。

さて、こうした例のように、すべての『バー』が書類上は「飲食店」かというと、そうでもありません。どのような分類になるのか?また、なぜお店側ですら自分の業種がどこにカテゴライズされるか混乱するような状況にあるのか?という部分について、後編で読み解いて参りましょう。~その2~に続きます。

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プロフィール

きたざわ御神酒

きたざわ おみき……テレビ、ラジオ、WEB、雑誌で執筆中の雑食系フリーライター。30歳で「バー・一人飲みデビュー」をし、以後、居住地の下北沢中心にあちこちのバーに出没。趣味は「知らない人と話すこと」。趣味が高じて、一瞬、バーの店長をやったことも。
時には夜から昼まで飲み続けたウン年間のバー生活?で学んだ「女子の一人飲みルール」的なお話から、「バーで出会ったトンデモキャラ」のネタ話など、働く女子のタメになったりならなかったり、まったくどうでもよく移動中に読み流したいお話まで、酒にまつわるいろんなエピソードを書いていきます。