コラム 『トリキの錬金術』=「モラルの低下」だけじゃない!迷惑行為に見る、真の“怖さ”とは?~その2~

『Go To Eatキャンペーン』が始まったとたんに発生してニュースになった、『トリキの錬金術』『トリキマラソン』なるネットスラング&迷惑行為。

どのような行為なのか?また、これについてどのような反応があったか?についてと、 飲食店のモラルに関しては人付き合いを左右する問題にもなるという件を、その1で書いて参りました。~その1~はこちら

後編では、この件から感じる「本質的な怖さ」の正体を考えてみたいと思います。

モラルに反する自分だけトクをするメカニズムがSNSで拡散され、見えた本当の怖さ

そもそも飲食店を扶助する目的の『Go To Eatキャンペーン』の隙間をつき、自分1人が小金を稼ぐような行為、その上、方法論をSNSで広く発信するとは……。

どこまでモラルが低いのか?やめましょう!と言われるであろうことは、この方法論をSNSにアップした本人もわかっていたでしょう。

それでもアップする動機は何か?筆者はそこに「迷惑系ユーチューバー」のような幼稚な自己承認欲求以外のモノが潜んでいる気がするのです。

学生時代、月末に友人同士でファミレスで食事をした時、こんな事がありました。友人Aが「私がまとめてカードで払っていい?今月ピンチで、現金が欲しいんだ」と言うのです。みんなの食事代を友人Aがまとめてカード払いし、個々の飲食代を現金でもらうことで、当座の生活に必要な現金を入手しよう、というアイデア作戦です。

特に法的な問題もないし、誰にも迷惑はかかりません。みな学生同士、月末に所持金が乏しくなる経験もしていた同士なので、「すごいいい方法!頭いいね!」と、友人Aのアイデアを褒めました。そしてこれ以降、筆者を含めた他のメンバーも同じような状況にある時、この方法を提案して当座の現金を手に入れる、という事が出て来ました。

『トリキの錬金術』がSNSでここまで拡散されたのは、これに似た心理を無邪気に感じた人々もいたからではないか?と思うのです。

確かにモラルには反していますが、法には触れない。誰も困らない。……実際には、『Go To Eatキャンペーン』に投じられた税金に影響する行為ですし、後に飲食店に実害を与えることも発覚した、「誰も困らなくはない」行為なのですが、SNSで『トリキの錬金術』を発見した段階では、そこまで考えず、浅慮に「こんなアイデアがあったのか!」と思った人も多かったのではないかと。

こういうグレーゾーンの行為を、モラルはさておき、という状態で肯定してしまう心理は、2つ考えられます。

1つ目は「自分のトクしか、深く考えない」。こちらは、「ワンドリンクオーダーしてください、ってルールが無い店なら、水だけもらって安い料理をバンバン頼んでいいと思う」と確信犯的に自分の利にフォーカスするタイプで、その人がお金持ちかどうかはあまり関係ありません。

そして、2つ目が問題です。「なりふり構っていられないほど困窮しているから、いいアイデアだと飛びついた」パターンです。

つまりは「月末の学生」のような経済状態に、もっと深刻に直面している人が、コロナ禍で増えているからなのではないか?と。

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