コラム 母が愛人被害妄想から悲劇のヒロインに……アラフォー世代に刻々と迫る「親のケア」という現実~その2~

「エア愛人」のエピソードはより強固になり、財産管理も危うくなってきた

地方に住まっているサカキちゃん、コロナ禍の問題もあり都内の実家との行き来が制限されていたこの1年間、お母様と電話連絡はとっていたものの、お母様の様子は、前よりもぐんと悪くなってしまったのだとか。

「1年の間に、本当に認知症になってきちゃったのかな……?祖母がいずれは孫のサカキに、って遺してくれていた高価な宝石を、そのときの気分で他の人にあげてしまって、すっかり忘れてたり。たまたま相手が善人だったから、そのことを私たちに知らせてくださったのだけれど。

それから、『子どもたちが会いに来るから』って妄想にとりつかれて、高級なお寿司を大量に頼んでしまった事もあったし、

父がお店に出ていた時間に、父の親友の訃報を知らせてくれた電話の相手に、その方だって辛い気持ちに違いないのに、『夫は愛人宅に泊まっているのでおりません』って言ったりしたらしくて。

……私は、すぐに実家のそばに引っ越すことは夫の仕事上無理だし、ときどき、弟のお嫁さんが母の様子を見に寄ってくれてるんだけど、申し訳なくて。大量のお寿司を頼んじゃったときも、結局、弟夫婦が実家に駆けつけて一緒に食べてくれたんですって。

私も心配で、今年の夏に一度だけ、実家に泊まりに行ったら、ご近所の人に『こんなときに東京に行くなんて!』って罵倒されて、参っちゃった」

お母様は今のところ、最低限の日常生活は送れいる、という事でしたが、
もしもの事態を避けるために親族で相談をして、キッチンのガスを全部IHに変える工事をする事、お母様が金品を変な風に動かしてしまわないよう、公正証書を作ることにしたのだとか。

サカキちゃんは「まさかこんなに早く、親の老いの問題が出て来るとは思ってもみなかった」とため息をついていました。

人生100年時代と言われる現代、自分自身の生活はもちろんの事、親世代の老いの問題も意識しておかなければなりません。お互い健康に年を重ねられるよう、不安な社会状況のときは特に、「元気?」と様子をうかがってみることが大切かもしれません。

親のこんな姿は見たくないが、子どもとして避けては通れない問題でもある。

<御神酒の手引>
親が「自分より頼れる存在」でなくなるときがいつか来てしまう

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プロフィール

きたざわ御神酒

きたざわ おみき……テレビ、ラジオ、WEB、雑誌で執筆中の雑食系フリーライター。30歳で「バー・一人飲みデビュー」をし、以後、居住地の下北沢中心にあちこちのバーに出没。趣味は「知らない人と話すこと」。趣味が高じて、一瞬、バーの店長をやったことも。
時には夜から昼まで飲み続けたウン年間のバー生活?で学んだ「女子の一人飲みルール」的なお話から、「バーで出会ったトンデモキャラ」のネタ話など、働く女子のタメになったりならなかったり、まったくどうでもよく移動中に読み流したいお話まで、酒にまつわるいろんなエピソードを書いていきます。