タイトスケジュールで物件探しをする中、規定外の熱心な営業。仕事に燃える人?それとも…
まず、「職権乱用ナンパ」の経緯をお伝えします。
ミヤちゃんは当時、都道府県をまたいだ長距離の引っ越しを検討中でした。転職先の仕事が忙しくなり、通勤至便エリアへの引っ越しを急いでいたのです。
忙しい中での新居探しなので、当然、スケジュールはタイト。休日の限られた時間内で気になる物件を回りましたが、時間内に有力候補の内見の都合がつかなかったのだとか。
引っ越しのリミットは迫っていましたが、その後は時間の都合が難しく、不動産屋の営業時間外でしか、ミヤちゃんの内見可能な時間がとれません。……という状況で、担当営業マンが「よかったら、店が閉まった後、時間外ですが内見にお付き合いします」と申し出てくれたのです。ありがたく甘えて、平日の閉店後に内見に行くことに。
内見は夜。営業時間外なので、店の外で待ち合わせ、営業マンのマイカーで物件に向かいました。そこまでされれば、当然ミヤちゃんも感謝し、道中、 愛想よく世間話を盛り上げたりします。
「同年代の男性営業マンで、なんとな~く私の事気に入ってるんだなって雰囲気は感じたけど、まぁそういう個人的なひいきの感情って、人間だからどんな仕事にもあるものだし。当時私は20代半ばで、若い女性がひいきされる事って、こっちの感情に関係なく、まぁ多いよね」
そう。こっちの感情に関係なく、愛想よく身だしなみのまともな若い女性は、ひいきされやすいものです。そこを意識しすぎてかたくなに断るのも、単純に親切とか、仕事熱心な相手だったとしたら、自意識過剰すぎるし。……線引きの難しいところです。まあ、ミヤちゃんと同じ状況なら、あちらから営業時間外の内見を申し出てくれたら、ありがたく乗る人のほうが多いでしょう。
物件を見て、ミヤちゃんはとても気に入りました。すると営業マンが、
「実はこの物件の、最上階の角部屋のお部屋も空いたんですよ。見ますか?」
と教えてくれて、別の部屋も見る事に。
そちらのお部屋のほうが条件が良く気に入りましたが、家賃はそちらのほうが1万円ほど高く、予算の範囲を超えています。
すると営業マン、「家賃、できるだけ交渉してみます!」とあちらから言ってくれて、後日、なんと、最初に見た部屋と同じ家賃での入居をゲットしてくれたのです!……1万円値下げって、相当すごいよね。
大変感謝したミヤちゃんですが、同時に「よかったら、仕事とは別件でお食事でも」という申し出が来た時、「ああ、やっぱソレか」と思いつつ、丁寧に辞退します。
「値下げの話は私からお願いしたわけでもないし、ありがたくはあるけど、それとこれとは別の話だよね」
当然、全く別の話です。ソノ気があって頑張った、というのは相手側の都合であって、ミヤちゃんが彼の好意を利用してねだったわけじゃないし。どう考えても、それとこれとは別の話、相手も大人だし、と思っていたミヤちゃんですが。

後日、ギョッとする事態が起こるのです。~その2~に続きます。