コラム 身近に起った『5080問題』から考える「老後はいつからなのか」問題~その1~

半ニートから高額所得者まで、常識人から異世界に住む人々まで、幅広い層が飲みに来る下北沢を中心に「一人飲み歴10年以上」の、きたざわ御神酒(おみき)(目下、自粛中)です。

皆さま『5080問題』という言葉、ご存知でしょうか?「引きこもりで、親に生活の面倒を見てもらっている子どもの世代の一定数が、いまや50代以上になり、親世代は80代などかなり高齢。引きこもりのまま年齢を重ねると、社会復帰が現実的にどんどん難しくなり、今後こうした世帯はどうなってしまうのか?」という社会問題です。

筆者の周囲で、この問題に該当する世帯がありまして、数か月前、衝撃的な出来事が起きました。世の中で取り沙汰されるような衝撃的な「事件」ではありませんが、その世帯と親交のあった周囲からすればかなり衝撃的……という種類の事って、ニュース等で取り上げられることはなくとも、社会のあちこちで、意外と静かに起きているのかもしれません。

アラフィフ女性の筆者にとって、今後の人生を考える上でも身の引き締まるような出来事でしたので、筆者の感じた、考えさせられるポイントと共に、ご紹介したいと思います。

これまでの連載:https://suits-woman.jp/column/saketoitata/

80代後半で働き続ける母と、40代半ばから20年以上引きこもりの子ども

表題は、筆者の実家の隣家の状況でした。

世帯主であった親世代のご主人は10年ほど前に病死され、当時、すでに10年以上「引きこもり」であった息子・ユウヤさん(仮名)とお母さまの二人暮らし。ユウヤさんの妹にあたる長女は結婚して他県で生活しており、お母さまは主婦業と2児の母をしながら定年まで勤め上げたしっかり者の女性。

「引きこもり」と言っても、ときどき隣家の者が、ユウヤさんを目撃することはありました。自宅の庭先や、時にお母さまと外食……程度の外出はあるようで、つまり、母子のコミュニケーションは円満だったのです。

ユウヤさんは、もともと「人嫌い」の傾向があったようで、引きこもる前の40代までは「他の人に会わないで済む」という理由から、夜間に一人で従事する職業に就いていました。非正規雇用ながら、業務内容的に報酬が高めだったらしく、お母さまが立ち話の際に「うちのユウヤくんは、高給取りで世間知らずだから、甥っ子が遊びに来た時、小学生相手にいきなり10万円もお小遣いをあげちゃって。娘が後で知って『お兄ちゃんに、小学生に非常識な金額をあげたりしないでって伝えて』って怒るのよ」とこぼされていたそう。

……正確には「こぼす」と見せかけた「ユウヤくん、実は高給取り」という自慢ととれなくもありません。お母さまはとにかくユウヤさんに甘いようでした。

ユウヤさんの「引きこもり」のきっかけは、食生活の不摂生による成人病で入院するために、仕事を辞めたことです。お母さまづてに「ユウヤくんは10 kgのダイエットに成功して回復した」と聞いたと思ったら、復職する前に「また具合が悪くなって。アイスクリームが大好きで、せっかく痩せたのに、ファミリーパックを一度に平らげたりしちゃう」など、それは悪化して当然、的な行動をとるようで、40代半ばで退職して以降、そのままずっと「引きこもり」状態に突入してしまったのです。

最初は様子を見ていたお母さまも、時がたつにつれ「これはマズい」と思った様子でしたが、結局、ご主人の死後「ユウヤくんがよく食べるから」と、すでに70代だったお母さまが働きに出るようになりました。

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