コラム 身近に起った『5080問題』から考える「老後はいつからなのか」問題~その2~

今回は、筆者の周囲で起こった『5080問題(引きこもりで、親に生活の面倒を見てもらっている子ども世代の一定数が50代以上になり、親世代は80代などかなり高齢で先行きが危ぶまれる、という問題)』に関連する出来事をご紹介しながら、
現代における「長い老後」の前に考えておきたいことをまとめております。

その1では、高齢の母親が外で働き、年齢だけは働き盛りの、引きこもり息子の生活の面倒を見る……という状況が起きるまでの経緯と、母親が考えていた「自分の死後息子のみの振り方」計画についてまとめてまいりました。~その1~はこちら

とうとう、母90代手前、息子が還暦過ぎ……という年齢で、母が他界。

しかし、葬儀に関する連絡や近所への挨拶に来たのは、他県に嫁いだ長女のみで、引きこもり息子・ユウヤさん(仮名)の姿が、忽然と消えていたのです。

引きこもり息子は、母の死後、母の計画通りにはならなかった

結論から言うと、その後、ユウヤさんの愛車も、ユウヤさん自身も、近隣の人間は誰も見かけていないようです。母と息子が住んでいた家は、長女によって売りに出されました。

家の整理も、長女は業者任せでほとんど来ず、
長女と親交のあった人が「ユウヤさんはどこにいるのか?」と聞いてみたところ「兄はもともとの持病が悪化して、入院しました」と言うだけで、
どこの病院にいるのか?ユウヤさんの愛車は?ユウヤさんが退院したらどこに行くのか?なども一切わからないまま、家財は必要なものを分別することもなく処分され、家は売却されたのです。

「自分の老後」はいつ始まるの?……不確定要素が多くて計画が立たない

この一件で、筆者が一番に「他人事じゃない」と考えてしまったのは「『老後』って何歳からなんだろう?」という疑問です。

現代は「老後が長くなった」と言われますが、筆者の体感ではむしろ「いつからを老後と言うのか、あいまいになった」というイメージのほうが大きいです。

ユウヤさんのお母さまは、もうすぐ90歳という年齢でもずっと「老後」というより「子を持つ、現役の働く女性」でした。筆者の実家近辺では、高齢者の雇用先が充実しており、実は筆者の父も80代半ばの年齢で、今でも週に3~4日、一回5時間ほど働いています。

筆者の父の場合は、本業をリタイアした後の「人生の張り合い」「社会とのコミュニケーション」が働く目的ですので、働いてはいても「老後の生活」というイメージなのですが、
ユウヤさんのお母さまには、心の上の「老後」は、良くも悪くも無かったんじゃないか?と思います。仕事の時は、いつもヘアピースをつけてフルメイクで、綺麗になさっていたし。

社会的には、会社勤めの方の「定年」や、年金の受給開始などの「老後」認定的なイベントがありますが、
ユウヤさんのお母さまやアンチエイジング化粧品のCMモデルとか見ても、「老後って何歳なのか?」がわからなくなります。

また、筆者のようなフリーランスだと「いつまで働けるのか?」はずっと不確定要素で、蓄財に関してもそれに準じますし、
寿命も延びてるって言うし、
「いつまで働いたら『老後』に入っていいのか?」を、あらゆる面から判断しかねます。

とにかく、主観的にも客観的にも「自分の老後」はいつからなのか、本当に見当がつかないのです。

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