コラム 集中治療室で父が打ち明けたナゾの財産!? 回復後にわかった気をつけたい教訓とは~その2~

回復後は、壮大な妄想ストーリーを、本人は全く覚えていなかった

さて、回復が進み、集中治療室から一般病棟に移ったお父さま。多少は会話できるようになった後も、なんとなくボタンの掛け違い的なやりとりがしばらく続きます。

のちに、完全に回復されたご本人が「自分は手術直後で、いままでフワフワと混乱していたんだな」と気づいた瞬間があった、と語っておられるそう。

「母が、父を車椅子に乗せて、院内の談話スペースに連れて行った時、父が外の景色を見て『今日は○○山が綺麗だな』って言ったんですって。○○山は実家のほうで見える山で病院からは見えないから、母が『パパ、ここは病院だから、○○山は見えないよ』と言ったら、
そこでハッとして、一気に現実を把握できたんだって。『あ、俺は手術した後で、今、病院に入院中なのか!』って」

その瞬間以降は、お父さまに記憶や認識の混乱が無くなり、『梅の木で大金ゲット話』をご本人に聞かせると「なんだそのめちゃくちゃな話は!一つも覚えてないけど、すごく詳細なでたらめだな!」と驚き、笑っていらしたそう。

……それにしても、人間って、とんでもない時に本質が現れるものですね。ユリカちゃんのお父さまの妄想からは、実直で几帳面で頑固な『昭和の男性』の姿が見えてきます。

……というお話を、別の飲み仲間・りっちゃん(仮名:30代・ゲイセクシュアルの男性)に話したところ、
「回復されて、可愛らしい『家族の伝説』になって良かったわね!でも、怖いわ~!アタシ、実家の家族にはカミングアウトしてないのよ!親族の前では、声も低くして一人称『オレ』なのに、老後にもうろうとして、甥っ子とかに突然、カン高い声で『アタシ、○○屋のケーキが食べたいわぁ~』とか言っちゃったらどうしよう!」
と心配していました。

りっちゃんは魅力的な人で立派な仕事人ですし、本当にそうなっても甥っ子さん世代が偏見を持ったりはしないと思いますが、
自分は、もしもの時に、突拍子もない発言をしないような生き方をしなければ!と、筆者も襟を正したくなるお話でした。

記憶や認識が混乱したとき、人は何を発するのか…

<御神酒の手引>
本人の思いもよらぬところで、人柄は出てしまう!

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プロフィール

きたざわ御神酒

きたざわ おみき……テレビ、ラジオ、WEB、雑誌で執筆中の雑食系フリーライター。30歳で「バー・一人飲みデビュー」をし、以後、居住地の下北沢中心にあちこちのバーに出没。趣味は「知らない人と話すこと」。趣味が高じて、一瞬、バーの店長をやったことも。
時には夜から昼まで飲み続けたウン年間のバー生活?で学んだ「女子の一人飲みルール」的なお話から、「バーで出会ったトンデモキャラ」のネタ話など、働く女子のタメになったりならなかったり、まったくどうでもよく移動中に読み流したいお話まで、酒にまつわるいろんなエピソードを書いていきます。