コラム 【もやもや】伊藤詩織さん勝訴にホッとする女子多数、合意かそうでないかの境界線とは?~その1~

フリージャーナリストの伊藤詩織さんが訴えた民事訴訟の判決が下り、被告に330万円の支払い命令がされました。同時に、被告が訴えていた請求は棄却されたので、実質的な勝訴です。このニュースを知人から聞いたとき、「ああ、よかったね」と答えたら、「当然の判決。喜ぶとかいう次元ではない」とわりと強めに叱られました。そうでしょうか。筆者は、もしかしたら負けてしまうかもしれないと思っていました。

日本の裁判には、「疑わしくは被告の利益に」という原則があります。そして犯行は密室。判決を有利にしたであろうタクシーの方やホテルの方の証言は心からありがたいと思いましたし、防犯カメラ、グットジョブ!とも思いましたが、被告が反論していたように、「嘔吐を繰り返し、自力で歩けないほど酩酊していたけれど、とくに治療しなかったにもかかわらず数時間後にスッキリ目覚めて合意した」のが、一般的には「万が一目覚めたとしても、気持ち悪くてそれどころじゃない」「ありえねーよ」であったとしても、そういう人が絶対にいないと言い切れるのかと聞かれたら断言はできません。それは悪魔の証明です。正直、心配でした。

レイプ被害を実名、顔出しで訴えたという状況も加味されたのかもしれません。そこまでしなければいけないほど苦しんでいるんだという心証を与えたのでは、と。だからといって、実名顔出しをしないレイプ被害者が苦しんでいないということでは絶対にありません。それは「性犯罪被害者は笑ったりしない」という風評と同じくらい偏見であって、被害者をますます苦しめることにもなります。

合意のあるなし……一番男女のズレがあるところじゃないですか?

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