コラム 「悪意がない」ならよけいに怖い…コロナ禍で出現した心の中の“自粛警察”感情~その1~

新型コロナウイルスの感染拡大阻止対策として、延長されている緊急事態宣言。特定警戒都道府県以外の34県と、特定警戒都道府県のうち茨城、石川、岐阜、愛知、福岡を解除対象とする検討も始まっているというニュースが入りました(13日時点)。

しかし、「これでようやく普通の生活に戻れる、よかった」「うちもこのままいけば5月末には解除されるんだろうな、嬉しい」というほのぼのとした反応は少ないようです。「ドイツはロックダウンが緩和されてすぐに感染者が増大したっていうのに、時期尚早では」「絶対に第二波が来る。もっと自粛しないと」「日本全土で5月末まで自粛でいいじゃない」という、ある意味ニュートラルな意見はまだましで、「自分はこんなにちゃんと自粛してるのに、出歩いて感染する人がいるせいで苦労を強いられている。感染者が憎い、解除される県はずるい」「解除されたからって、他県の人はうちの県には絶対に来るな。感染者がまた増えたら許さない」という、殺伐とした空気が増大しています。その風潮の高まりとともに台頭しはじめたのが自粛警察という存在です。

自粛警察とは、他県ナンバーの車に石を投げたり、他人が経営する店舗のシャッターなどに休業を求める張り紙を張り付けたり、感染者情報をネットで公開したりして自粛しない人たちを取り締まる個人、あるいは団体のことを指すネットから生まれた言葉です。そもそも筆者は家の前のコンビニに行くか行かないか程度の外出しかしていなかったので、見回りをしている人が存在することすら気づかなかったのですが、飲食店を経営する知人に聞いてみたところ、店を閉めろという匿名電話がかかってきたり、店内や店の看板をスマホで撮影する人がいるとのこと。窓ガラスを割られたお店もあるとか。自粛警察とは、SNSに自らの犯罪をさらすバカッターのような特異なものかと思ったら、もっと身近で陰湿な存在のようです。Twitterでは、ご近所の方からと思われる「お宅の家の子どもの声がギャーギャーうるさいので黙らせてください」というていねいな文面がパソコンで打たれた匿名のお手紙を受け取ったという人が画像を展開したりなどして、自粛警察というワードがトレンドにもなりました。

自粛警察の行為は、社会心理学などによると、わざとウソの情報を流して貶める目的の人は別として、ほとんどの人に悪意がなく、自分の行ないを正しいと思っていると考察できるらしいです。しかし、悪意がないならそら恐ろしいし、本当に正しいと思っているかということも、いぶかしく思ってしまいます。単に、「正義」を武器に自分のうっぷんを晴らしているとしか……。

心の自粛警察は存在するけど……

1 2